初めて恋をした。
だから、この気持ちをどうしたら良いのか。どうしたいのかが自分にも解らなかった。
でも、だからって…
「ねぇ、好きな人。できたらどうしたらいいのかな?」
質問する相手はもっと厳選するべきだったかな?
「え?できたの?好きな奴…」
「うん。」
「だ、誰!?」
「‥えっと‥‥‥‥」
「あ゛ーーーーー!!やっぱ言わないで!」
「え?」
「ちょっ、ちょっと待って!」
その言葉を最後にザックスは私を置いてけぼりにして頭を抱え、ぶつぶつ悩み始める。
どうしたんだろう?
「‥‥‥エアリス。」
じりっと一歩ザックスが距離を縮めた。
「‥‥‥どうしたの。」
でも二人の距離は縮まらない。
「なんでちょっと逃げんの?」
「だって、ザックス顔、急に怖くなってるんだもん。」
「ムッ。失礼な!真剣な顔なんですけど…」
「な、なんで?」
「あのさ…」
「…はい…。」
「それ俺じゃダメなのか?」
「え?」
「誰か分かんないけどさ、それ俺にはならない?」
「‥‥‥。」
誰か分かんないけど…?
ってことはザックス…。
「もしかして悩んでたの、そのこと?」
「‥‥‥‥‥。」
ザックスの返事は必要なかった。だってね?困ったように眉を歪ませ、目を伏せた彼は、お決まりのポーズ。
後ろ髪をいつもよりすこーしだけ、弱気に弄る。
「クスクス。」
「な、なんで笑うんだよ!?」
だって、“答え”が私の“答え”で勝手に頭を悩ませて、私の欲しかった言葉。あっさり持ってっちゃったんだもん!
「ふふっ、ザックスってすごいね?」
「それ、答えになってるか?」
「ねぇ、ザックス。」
じりっとザックスの顔を覗きこみながら、距離を縮める。
「な、なに?」
でも、やっぱり二人の距離は縮まらない。
「クスクス、なんでちょっと逃げるの?」
「‥‥なんとなく?」
ふふっ、ザックスはすごい。
言葉だけで
仕草だけで
一緒にいてくれるだけで
楽しくさせてくれる。
明るくさせてくれる。
笑顔にさせてくれる。
私を
拐ってく。
「私もなれるかな?」
「何に?」
「ひみつ!」
「???」
あなた拐えるような人に、なりたいな…。
「よく、分かんないけどさ…」
「うん?」
「なりたいなら、なればいいんじゃない?」
「‥‥‥‥。」
──初めて、恋をした。
だから、この気持ちをどうしたら良いのか。どうしたいのかが解らなかった。
でも
「うん、そうだね。」
私の心臓はこんなに速く動いていて。
手を伸ばせば、彼に触れられて、相手の体温が気持ち良いい。
彼の手をとって、教会で彼に誓う。
「私は、なりたい私になります。」
『初恋初心者。』
私を見てください。
「ところでさ…」
「なーに?」
「エアリスの好きな奴って誰?」
「‥‥‥‥‥。」
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久しぶりのお題up
2011 09 06