今日も俺は休みの日の日課となったスラムへと足早に向かった。
途中のスラムストリートやマーケットで何人かのやつらに軽く挨拶をされて俺もいつもの調子で軽く挨拶を返す。こんなとき実感するよな〜
俺もいつの間にかスラムの顔馴染みだ。
最終目的地の教会。
俺の仕事は決まっているようで決まっていない。急な任務が入ったりするのなんて非番の日には結構日常茶飯事だ。
だから特に約束をして会いに来るってことはあんまりなかったりする。
現に今日もアポなし訪問なわけだしな。
この時間じゃ花達の手入れは終わっているかいないか微妙なところではあるけど、ここに居なければ公園。そこにも居なきゃ…まぁ見つけるまで探すだけだしな。
後々のプランもバッチリな俺は迷うことなく教会の扉に手を触れる。
「エアリス…?」
珍しくエアリスの姿がなかった。来てないって訳じゃないよな?
そう思って奥の花畑まで足を進めて腰をおろして見れば
「‥‥濡れてる。」
きちんの花達には満遍なく水が与えられていて、エアリスが来ていたことを俺に教えてくれた。
(公園か?)
そう思って振り返り、教会の中央の花畑に集中していた俺の意識を外に向けようとした、ふとした瞬間、俺の耳に微かに聞こえた規則正しい呼吸音。
「スー‥スー‥スー‥」
「エアリス…?」
「‥‥‥‥。」
「もしも〜し?エアリスさーん?」
「‥‥‥‥‥。」
「ったく、気持ち良さそうに寝ちゃてまぁ。」
憎まれ口とは裏腹に、俺は顔を緩ませながら滑らかで指通りのいい前髪を軽くなぞる様に撫でていた。
(寝るなら家に帰って寝りゃーいいのに。)
エアリスがそうしない理由を分かっててそんな事を考える。
いや、分かってるからこそ考える。
その先の答えを俺が望んでるから。
「ゴメン、待たせたな。」
別に約束をしているわけじゃない。
でも
俺もエアリスに会いたかった。
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更新停滞中もね。描いてはいたのですよ。
2011 08 30