俺の大切な娘は一生懸命に花が好きだ。
今だって、額に汗を滲ませて、楽しそうに花達の手入れをしてる。
これが毎日。
この前、帰り道にふらりと立ち寄った本屋で初めて園芸のコーナーに立った。
「ただ水をあげてりゃいーわけじゃないんだなぁ…。」
なーんか、色々と面倒な事が書いてあった。そのうえ手順まで…
手順なんてあるんだなぁ、なんて思ったり、うへぇ…なんて思ったり、意外と見た目以上、想像以上に手間隙がかかるものらしい。
本当、好きじゃなきゃ出来ないし続かない。
パタンと本を閉じ、無縁だと思っていたのに、ひょんな事から興味をもった世界に別れを告げ、店を出たわけだ。
あれを毎日、かぁ…。
「エアリスって本当、花好きだよな〜」
「うん。」
額の滲んだ汗を拭いながら、嬉しそうに頷くエアリスが可愛い。
思わず顔が綻んでしまう。目の前の汗は伊達じゃないのを俺は知っている。
「でもね?今はザックスの勝ち。」
「俺の勝ち?」
「ふふっ、ザックスはね?最近の私の一番。だからザックスの勝ち。」
突然の告白にビックリ唖然してる俺を余所に、満足そうに笑ったエアリスはまた一生懸命に好きな花達の世話に戻る。
俺の勝ち、だってよ…。
額に汗を滲ませて、毎日俺には到底真似できない手間隙がかかる一生懸命に好きな花達よりも俺が勝ちなんだってよ!
ザックスの勝ち。
ザックスは最近の私の一番。
────っっだって!
エアリスそりゃあ可愛いすぎだろ!
世界中のみんなに見せびらかしたいような
俺の胸の中だけに留めておきたいような
エアリスは俺の自慢の一生懸命な大切な娘。
でも
抑えきれない気持ちを表現する為、後ろから抱きついたら怒られました…。
……あれ?
『甘え下手な子犬』
-----------------
スランプ。それは果てしなき洞窟。
へるぷみー!!!
2011 08 01