「幸せって何かな?」

「はっ?なに急に…」


「ザックスは幸せ?」




後ろ髪をポリポリ、困る俺。


「幸せかって言われてもなぁ…エアリスはどうなんだ?」


「私はよく、分からない。」





「そうか。分からないか」

「うん。」


「エアリスにとっての幸せってさ」

「?うん。」





「俺と一緒に居られること。だったりしないか!?」


「うーん、わからん」



「もしもーし、そこは素直に可愛く返事するところだろ?」


そんな俺たちのやり取りをエアリスも俺も笑いながらするのに…





ふと、した時エアリスは少し寂しそうに笑う。




「ザックスは私と一緒に居て、幸せ?」





“当たり前だろ。”





少し怯えるように、抱えてる不安を露にするように、











俺の反応を伺うように…




距離を置きつつ覗くエアリスのそんな一切合切を吹っ飛ばすように答えたい。










そう答えてあげたいのに…





きっと







エアリスに俺の言葉は響かない。




だから言葉と一緒に




足りない分を補うように、そっと優しくエアリスを抱きしめる。



「俺は、エアリスのこと好きだぜ?」




ごめんな?





ハッキリ言うとさ






俺も自信ないんだ。幸せかどうかなんて…




確かに、エアリスと居ると楽しいし、すごくあったかい気持ちになる。



好きだと思うのも本当。



でも、エアリスの瞳を見ながら真っ直ぐに答えるほどの自信なんて、俺にもないんだ…





「まぁ俺たちはさ、うら若き十代じゃない。これから少しずつ見つけていこうぜ?確かな幸せをさ」




ごめんな?




今はこんなことぐらいしか言ってやれないや…







「…うん。そうだね」




































ザアァァァァァァァ──‥





───あぁ。エアリス…




俺、今なら言ってやれるよ…




あの頃の俺は







“確かな幸せ”




その、ど真ん中に居たんだって…




今なら 胸張ってさ 堂々と



エアリスの瞳を 真っ直ぐに 見ながら




キミと居られることが





幸せだって…




言えるのに…








ごめんな?





あの時 言ってやれなくって




そっと優しくじゃなくて






しっかり強く抱きしめてやればよかったなぁ…








初めてだった こんなに誰かの事を想う気持ち







キミに笑ってほしくて…



笑顔が見たくて 一生懸命だった。




必死な毎日が 楽しかったなぁ…






怯えていたのも、不安を抱えていたのも









俺の方、か…




あの時、自信がなくて 誤魔化した俺。





響かない。





そう思ってる奴の言葉なんか




響くわけないよなぁ…





「本当、ばっかみたいだな?」






こんなままで






キミとの時間を手離したくない。




帰りたい…





















あの頃に───…













頬を伝った冷たさは、
雨だけじゃなかった…。











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また暗い…。

2011 05 09


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