気づいてるか?



アンタは時々、俺を通り過ぎていくんだ。

















気づいてるか?





















俺は、それに気づいているんだ。






『A面』










「私、もうすぐ誕生日、だよ。」


アンタはいつも突拍子もないな。

覚えてた?とでも聞きたげだが

今、初めて知ったぞ?アンタの誕生日。







瞳を見れば分かるんだ。アンタはまた、俺を通りすぎてる。


俺じゃない違う誰かを追いかけてる。




「…俺に言ってるのか?」



なぁ。もっとちゃんと俺の事見てくれ。




「今、私の目の前には、クラウドしか居ないよ。」




ほらな?そう言って俺を通りすぎ追いかけた先で見上げるんだ。





















青い空を。














「そうだな」




こういう時、俺は苛立ちを覚える。

それと一緒に少し“寂しい”とも思っているんだと思う。


「お祝い、してくれる?」

「興味ないね」


こんな些細なことでへそを曲げるなんて大人げないな。



「もう。…クラウドは、冷たいんだね。」


いや、それよりも


「なんだ?何か欲しいものでもあるのか?」


「別に、そういうわけじゃ、ないんだけど。ね?」


「アンタの欲しいものなんでも用意してやる。」






……らしくないな。






「うーん。でも、本当に欲しいもの、ないの。」








本当か?


アンタは本当に欲しいものないのか?









今だってほら。






「そうやって飽きもせずに空を見てるよな。よく首痛くならないな。」


「ふふっ。ずいぶん、イジワルな言い方、だね?ヤキモチ?」

「何言ってんだアンタは」




俺のペースを崩すの上手いよな。でも、悪い気分じゃないんだ。



「空、好きなのか?」



「青空が好き、かな?この空より小さいけど一番好きな空、あったよ?
…でも、今はどこにいて、どこ流れてるのかな?」







…どこにいてって何だ?





「…好きだったんだろ?アンタにもわからないのか?」














――――!!?


……なんで。


「クラウドは、好き?空。」



―――そんなに悲しそうな顔してんだ?



「そんな風に空を見たことがないからわからないな。」






「そっか。」






アンタにそんな顔させたくないんだ。






「……で?」



「うん?」



「いや、誕生日なんだろ?プレゼント何が良いんだ。」


無理矢理でも不自然でも俺なりに話を戻してみた。なんでも用意してやるから











俺を通りすぎていってもいい。








俺が寂しい思いをしてもいい。














アンタはそんな顔をしないでくれ。








頼むからアンタは笑っててくれ。




「……声、かな?」




「?……声?」





誰の?





「みんなの声。みんな一緒、それでみんなで笑う声。」


「見た事ないような花とか言われるのかと思っていたけど、……声か、アンタらしいな。」


「どう?何でも屋さん。」




「もちろん用意して見せましょう。」






アンタの望むものならなんでも用意してやる。






ただ、コレはおまけ。



「俺、個人からもやるよ。」




ただし、報酬は高い。




「本当?なに?」



きっとアンタが一番望んでいるものを――――。







「アンタの探してる空を一緒に見つけるよ。」



俺が贈ってあげましょう
そして―――。





「ふふっ。楽しみにしてるね、なんでも屋さん。」



その時の最高の笑顔を。




「あぁ、任せろ」

















俺がもらう。






アンタが笑ってるとき俺は楽になれるんだ。





青い空。この人の笑顔は俺が貰うぞ。




今はまだまだお前に敵わないけど、いつかきっと――――。





「ねぇ、クラウド?私、誕生日楽しみなの、久しぶり。」


「そうか。用意のしがいがあるな。」





そういう瞳の先には未だに青い空。





気づいてるか?




アンタは、俺を通り過ぎていくんだ。







気づいてるか?







俺は、それに気づいているんだ。













青い空。お前に勝つのは中々難しそうだ。







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ん?あれ?これってクラエアか?書き始めの時にはクラエアを目指してたのに終わってみればザクエア←クラにΣ(゜д゜;)
個人的にはクラウドはヘタレであってほしいです。

2010 03 14



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