───‥ここは…



ライフストリーム?





そうか私、死んじゃったんだ‥。



ライフストリームの中は真っ白で、何もなくて、少し辺りを確認しようと思って2・3歩進み出したとき───








「ストップ!」



「え…」



「お花、踏まない!花があったら気を付けるんだろ?普通」



「ザッ‥クス‥‥」


「よぉエアリス、久しぶり」


目の前の彼の存在に驚きすぎて死んでいる私がそう感じるのもおかしな話だけど





───息が止まった。



「へへっ花なんて珍しいだろ?」




「‥‥う、ん。」


「にしてもさ〜エアリスこっち来るのちょっと早すぎるんじゃないの〜?」







「ザックスに、言われたくない。」



そんな私の言葉に少し笑いながら「それもそうだな」なんて言って立ち上がったザックスを見上げた。




この少し高くて懐かしい目線の位置に思わず目頭が熱くなった。


「あれ?もしかしてエアリス…」


「な、なに…?」


「背、伸びた!?」



ポンポンと私の頭をザックスが優しく触れる。


すごくドキドキしてるのが自分で分かる。




「5年も会ってませんからねー。」


「まぁ、リボンがこんな風になっちまうぐらいだもんなー。」


その、優しい手でザックスの記憶と違う、使い込まれたリボンをいじる。



「待たせてゴメンナ。」



…なんで、この人は




「待たせることしか出来なかったな。」


「知ってる。」




こんなにも私の胸を締め付けて



「本当は、ずっと会いたかった。」


こんなにも私の中に優しく広がっていくのだろう。



「…分かってる。」



───‥あの時


“会いに行く”と行ってくれたザックス。


嬉しかった。



ザックスも“会いたい”って思ってくれてるんだ!って




だから





“待ってる”と答えた。




「辛くなかったか?」

「私が勝手に待ってたから」


「そう?俺は辛かったけどな〜」


「初めて出来た好きな子だからな!スッゲー会いたかった。」



「ザックス、女の子はみーんな、好きじゃない。」


「いやいや!エアリスだけは特別で好きなんだぜ!?」


「信じられないな〜」


「何でよ!?本当だって!信じて!ね?」

「じゃあ、どれぐらい好きだった?」


「そうだなぁ…」


腕を組んで考え込むザックス。



笑ったり、
悲しんだり、
ムキになったり、
悩んでみたり。

本当、ザックスはよく表情をコロコロと変える。



「親に手紙で紹介しちゃうぐらい好きだった!」


手をパチンと鳴らして“思いだした!”と言わんばかりに閃いたザックスは、瞳をキラキラさせてて、


「知らなかっただろ〜」と私に顔を寄せ、ニヤニヤ笑うザックスは、少し、イジワルそう。


ふふっ、一体どれぐらいのストックがあるの?


「知ってますよ〜。」


ゴホン。と一つ咳払いをして、あの手紙を思い出す。


「“P.S ガールフレンドができました。”」


「何で!?」


「“知らなかっただろ〜?”」


久しぶりにザックスの真似、してみた。



それは、なんだか楽くって。





無くした心が、踊る。









なのに






すごく泣きそうになった。


思わず、近かった顔を離して、背中を向けて笑う私…。



「じゃあさ、エアリスは俺の事どれぐらい好きだった!?」


「好き、が前提なの?」



くるりと振り返る。
案の定───‥




「え゙…。」


ふふっ、「うそうそ。」と笑う私に、ほっと胸を撫で下ろして、「驚かすなよな〜」とひと安心のザックス。


そんなやり取りの笑顔にさっきの涙を溶け込ませ誤魔化したことなんて、ザックス、気づいてないんだろうな〜。

私のあんな簡単なうそに騙されちゃうぐらいだもんね?


「で?で?どれぐらい!?」


「うーん。そうだな〜。」


チラッと覗き見ればワクワクしてるザックスがいて




涙なんて跡形もなく消えて、自然と笑顔が溢れてくる。



「連絡もくれない相手を5年間も待っちゃうぐらいには好きだったよ?」


「‥‥うっ。」


「クスクス。分かった?」






「う〜‥。今度は俺が泣きそうだー‥。」



「え‥?」


…今度は?




「‥さっきエアリス泣いてたろ?」






あぁ。そうだった…。






「‥もう、そういうことには、相変わらず、目敏いのね?」


「言ったろ?エアリスの事は特別好きだ!って」



どうして



死んでしまっているはずの彼は


「今も?」

「もちろん!今も。」







今も、こんなに、あったかいんだろう?



「って言うかさ、エアリスこの間だけで、俺に何回告白させる気なの〜?」




そのあたたかさに導かれるように、




私の内の方から、じわりじわりとあたたかさを感じる。




それは


行き止まりになってしまっていた、私の気持ちを


「とりあえず‥」





懐かしい感覚へと誘う。



「まだ、全然、足りない。」




クスクス。
いまだに、こんなに好きなんだなぁ。私。




「ははっ!言うようになったな〜エアリス!」


ザックスがさっきと違ってグリグリと私の頭を少し乱暴に撫る。「やめてよ〜」なんて言いながら笑い合う私達に合わせるように、楽しそうに揺れる使い込まれたピンクのリボン。





「これからが俺たち二人の時間だと思おうぜ?たーぷり時間はあるからな!覚悟しろよ!?」




──死んでしまっているはずのあたたかい彼は



死んでしまったはずの私の気持ちを






優しく蘇らせる。




「言ったでしょ?まだ、全然足りてない。ってザックスこそ、覚悟。してよね?」




あの頃、伝えきれなかった気持ちを、もう一度ゆっくりゆっくりとあたためて




一つづつ、伝えたい。




全部、聞きたい。







星を廻るライフストリーム。




その一部で、永遠に終わらない今を彼と廻る。







足下で咲く花たちが、優しく揺れる。









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お題って難しいですね(汗)

2011 04 17


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