『FanalFantasyZで桃太郎』
昔々あるところにザックスおじいさんとエアリスおばあさんという仲の良い夫婦が居ました。
「じゃあエアリス俺、山にモンスター狩りに行ってくるわ!」
「うん。私、お花の手入れ行ってくる。ザックス気を付けてね。」
「おう!」
こうして2人とも元気に暮らしていました。
エアリスおばあさんがお花の手入れのため近くの川で水を汲もうとしていたら、向こうから大きな桃が流れてきましたが、重そうなのでエアリスおばあさんは無視しようとしたら桃は目の前の大きな石に引っ掛かってしまったので、
「きっとザックスなら喜ぶよね?よいしょ。」
持って帰ることにしました。
なんとか川から引き上げたものの重くてとても家までは持って帰れそうにもなかったので、転がして帰りました。
ごろごろごろ…。 ガンッ。
ごろごろごろごろ……。 ゴツッ。
(痛っ…)
「ふぅ。ただいま。」
「おかえり!どした?遅かっ…何?ソレ。」
「うん。あのね…」
やっとの思いで家に着いたエアリスおばあさんは、この桃の経緯をザックスおじいさんに話しました。
ザックスおじいさんは不思議なこともあるもんだなと少し驚きながらエアリスおばあさんの話を聞きました。
「食べる?」
「う〜ん。ヨシッ!とりあえず切ってみよう。」
そう言ってザックスおじいさんは家宝のバスターソードで大きな桃を一刀両断!と思ったら何故か桃は切れません。
よく見ると桃の中にたん瘤だらけの子供が居てその子供が白刃取りをしていました。
「あれ??ヒト?」
「いきなり何をする!?」
「あなた、誰?」
「私はツォンという者だ。」
「ツォン?」
ツォンと名乗るたん瘤だらけの子供は見た目は子供なのに、態度・口調などは大人びていました。ザックスおじいさんは正直者じいさんだったので、
「可愛いげのないガキ。」
素直に思ったことを口にしてしまいました。
「ザックス!子供相手に、そんなこと言わない。」
そんなザックスおじいさんにエアリスおばあさんは腰に手をあてながら怒りました。
ザックスおじいさんはエアリスおばあさんに怒られると悲しくなって直ぐに謝りました。
「どうして、桃の中に居たの?」
「漂流していた。」
「「漂流?」」
「あぁ。」
「何でまた漂流なんて?」
「色々あったからな。」
「色々って何だよ?」
「複雑な事情だ。」
「ふ〜〜〜〜ん。ま、いいんですけどね〜。」
「そんなことよりもエアリスおばあさん、助けてくれたお礼をさせてくれ。」
「助けたお礼?」
「あぁ。拾ってくたのだろう?何でもいいぞ困ってる事とかはないか?」
「うーん。あっ!あのね、山を越えた先に神羅っていう島に、プレジデントっていう鬼にが居て町の人みんな、困ってるの。」
「困ってる?」
「そう。税金だ!って言ってね、後で返すから預かってやるって、みんなの食べ物、お金。持っていくの。」
「返ってきたことは一度だってないし、持っていく量もどんどん増えてってんだよな〜。」
「分かった。そいつをこらしめてきてやろう。」
「本当!?でも大丈夫?プレジデントって、すごい大きいんだよ?」
「任せろ。」
「お前なんか“ぷちっ”って潰されちゃうんじゃないの〜?」
「人を見かけで判断しないでくれ。」
「ありがとう。じゃあ旅の支度、しとくね?」
こうして桃から出てきた子供、ツォンはエアリスおばあさんにお礼として町の皆を困らせてる鬼を退治に行く約束をしました。
エアリスおばあさんとザックスおじいさんは旅に必要な装備をツォンに用意してあげました。
「はい。あと、これも必要だと思うから、少しだけどコレ。」
エアリスおばあさんはそう言って現金1000ギルを渡しました。
「…食べ物ではないのか?」
「俺の目の黒いうちはエアリスの手作りなんて食べさせないの。俺だけ!俺専用!!」
ザックスおじいさんは誇らしげに胸を張りながら主張します。
「好きにしろ。」
ツォンはそんなザックスおじいさんに呆れてしまいました。
「「いってらっしゃ〜い」」
てくてくてく。
てくてくてくてく…。
ツォンがしばらく道を歩いているとサルと犬が仲良く座ってお話をしていました。
「あー暇だぞ、と。」
「あぁ。」
「何か退屈しのぎになる話はないのかな、と。」
「「………。」」
「ち、近々腕自慢が集まってだな…」
「無理しなくていいぞ、と。」
「すまん。」
「お前らはここで何をしているんだ?」
「暇をしているんだぞ、と。アンタは誰かな、と。」
「私はツォンという者だが暇をしているならついてくるか?」
「何処にだ?」
「鬼退治にだ。」
ツォンは暇そうなサルと犬にこれまでの経緯を話して2匹を一緒に鬼退治に行かないかと誘いました。
「お礼は関係ないけど話は面白そうだな、と。俺はついて行ってやってもいいぞ、と。」
「俺もかまわない。」
こうしてツォンは2匹のお供と一緒に鬼退治に出発しました。
てくてく。
てくてくてく…。
しばらく歩いていると空を雉が飛んでいました。その雉がこちらに気が付き話しかけてきました。
「珍しい組み合わせね。人間とサルと犬だなんて、何処に行く気なの?」
「鬼退治だ。」
「これから山を越えるんだぞ、と。」
「ヘー。大変そうね。」
「お前も一緒に来るか?」
「いいけど、タダ働きは嫌よ?」
「ツォンさんアイツ金を取るつもりだぞ、と。」
「…腕は良いのか?」
「あら、馬鹿にしないでくれる?」
「分かった。いくらだ?」
「500は欲しいわね。」
「高い。」
「高いぞ、と。」
「高いな。」
1人と2匹の意見があったところで雉は仲間にしないで先に進もうと1人と2匹は考えました。
「悪いがこの話は忘れてくれ。」
「えぇ別に構わないはあなた達が道を知っているって言うのならね?」
「山を越えれば良いんじゃないのか?」
「そんな簡単に辿り着けないわよ。」
「お前は道を知ってるのかな、と。」
「もちろん。空から見ればよくわかるかるもの。」
「「「………。」」」
「どうするの?私もう行くけど?」
「わ、分かった。道案内を頼む。」
「よろしくってよ。じゃあ1000ギルよろしくねツォン。」
(丁度全財産…。)
こうして頭の良い雉にツォン逹は、まんまとしてやられてしまいました。
雉の案内で1人と3匹は山を越え道中の敵を倒し、時には知恵を使い最後に海を渡りやっとの思いで孤島の新羅に着きました。
「長かったぞ、と。」
「あぁ。」
「これでも最短で案内したつもりよ?」
「確かにこれは案内なしでは辿り着けなかったな。」
一行は神羅に上陸して鬼が居そうな場所まで進んでいってみると、小鬼が沢山居ました。
「キリがなさそうだぞ、と。」
「しかしプレジデントが居る場所を聞き出さないと話にならない。」
「そうね。多分もっと奥に居るんでしょうけど…」
「行くぞ。」
「疲れそうだぞ、と。」
「退屈してたんだろ」
「腕自慢が集まってっていうのも、あながち外れてなかったな、と」
「そうだな。」
小鬼の大群にツォン逹は突っ込んでいきました。小鬼逹もツォン逹を迎え撃ちます。
「ツォン!これじゃ本当にキリがないわ!」
「先に行ってくださいな、と。」
「ここは任せろ。」
「分かった頼んだぞ。」
3匹のお陰でツォンは小鬼の集団から1人脱けてプレジデントが居るであろう場所まで走っていきました。
「プレジデント!何処にいる!?」
「騒がしと思ったら人間のガキが何の用だ!?」
「町の人逹から奪っていった物を全て返してもらいに来た。」
「そんな小さい身体で何が出来る!?」
プレジデント鬼の腕はツォンが滑り台に出来るほどお大きく、お腹は小さい山に見え、手はかくれんぼが出来てしまえるほどの大きさだったのです。
「フッ。前にも違う奴に言ったが…」
ツォンは得意気に笑い言いました。
「人を見かけで判断しないでくれ。」
ツォンは自分の身体より何倍も大きいプレジデント鬼と戦い始めました。
プレジデント鬼の大きな大きな手がツォンを襲います。ツォンも自分の小さな身体を活かして隙間を掻い潜りながら攻撃を避けたり、飛び乗って反撃をしました。
「おのれ!ちょこまかちょこまか動きおって!このこの!!」
「大きな身体が裏目に出たんじゃないか?」
しかし、ツォンがいくら攻撃しても大きなプレジデント鬼にはひとつひとつの攻撃であまり大きなダメージを与えられません。
(くっ、なかなかキツいな。)
するとそこに、お供の3匹も合流して4対1での戦いになりました。
みんなで力を合わせてプレジデント鬼に改心の一撃をお見舞いしました。
「これでおしまいだな。」
バキッ!!
「うわーーー!!!!」
スゴイ音と共にプレジデント鬼は遂に倒れました。ツォン逹はプレジデント鬼との勝負に勝ったのです。
「すまなかった。今まで町の人間から奪った物は全て返すから見逃してくれ!」
こうしてツォン逹は無事プレジデント鬼から町の人達の物を取り戻しました。
「これでエアリスおばあさん逹も安心して暮らせるな。」
取り返した荷物を持ってエアリスおばあさん逹の待つ町までツォン逹は帰っていきました。
「エアリスおばあさん、ただい…」
家の中に入ろうとしたツォンが窓の外から目にしたのはエアリスおばあさんとザックスおじいさんと小さな小さな男の子でした。
「これが打出の小槌だ。これで町の皆は税金に苦しむこともなくなる筈だ。」
「おぉ〜スゲーなクラウドは。」
「本当、さすがクラウド。」
「プレジデントも退治されたらしいしこれで町も平和になるな!」
「今度、ツォンに会ったらお礼、言わなきゃね?」
「そうだな。ま、アイツもどっかで元気にやってるだろ?」
「うん、だと良いね。」
「よし、クラウド!夕飯にするか」
「あぁ。丁度お腹が空いたところだったんだ。」
「じゃあ、急いで準備するね?」
「「よろしく。」」
エアリスおばあさんとザックスおじいさんの家には新しく一寸法師のクラウドが仲良く暮らしていました。
「…ツォン……。」
「…これは」
「お呼びじゃなさそうだぞ、と。」
「……。」
エアリスおばあさんやザックスおじいさん、町の人達のために頑張った1人の男の子と犬・サル・雉が居ました。
その後も1人と3匹は仲良く一緒に暮らしながらエアリスおばあさんやザックスおじいさん、町の人達を見守り
陰ながらお助けしていましたとさ。
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そんなつもりはなかったのに話の関係上ツォンが主役。最後あんなですけど、私ツォンの事好きですよ?
2010 04 10