「誕生日おめでとう!エアリス」

「ありがとう。ザックス」


「俺さエアリスに誕生日プレゼント用意したんだ」

「本当!?」


「何か当ててみてよ!」


そう言うザックスの両手は後ろに隠れていて






あまり大きいものじゃない、かな?





「うーん。…お花?」

「残念。それも考えたんだけどさ、相手の得意分野は止めといた方が良い。これ俺の経験談な」


「じゃあ、なんだろ。ザックスの得意分野?」



「お。いい線いってる!」

「本当!?でも私、武器。いらないよ?」



「武器じゃないヨ。正解はな…」


「うん。」


「じゃーーーん!!」



そう言ってザックスが見せてくれたものは



私には見当もつかないものだった。



「なに?それ」


「やっぱ分かんないか。コレはな」





































「世界地図!」






「…世界って、こんなに歪んでるの?」


そう聞かずにはいられないぐらいにザックスの見せてくれた地図の世界は歪な形をしていた。





「まぁ手描きだからな。」

ザックスが鼻をポリポリとし小さく照れくさそうに笑いながら言った。




「真っ白だよ?」


「そこがポイントなんだ!この世界地図の」






どういうことだろ?



私が少し首を傾けてみたらザックスが、すっごく楽しそうに笑うから



ふふっ。なんか、それだけでも私には、すごく素敵なプレゼントに思えちゃったな。



「この世界地図はな俺とエアリス二人だけの世界地図なんだ!!」



「二人だけの世界地図?」


「そうさ。さっきエアリス言っただろ?“世界ってこんなに歪んでるの?”って」

「うん、言った。」


「それもさ、確かめに行こう!」


「え?」


「二人で世界を旅するんだ。色んな所に行って世界を確かめる」


「世界はどんな色をしているのか。
世界はどんな形をしているのか。
世界にはどんな人達がいるのか。
世界の色々な名前。ミッドガル以外にも沢山の名前がいっぱいある!そういうやつ全部を書き込んでいくんだ。色ぬるのもアリだろ。あと、絵とかもさ!」




「それ全部を二人で確かめて“世界”を創るんだ!」



「その為の地図?」


「あぁ。」


「だから、真っ白?」


「あぁ!」


「でもザックス、お仕事で色々な場所、知ってるでしょ?」


「世界のすべてを知ってるわけじゃない。」


「いいの?」



「俺はさ、知ってる事も知らない事もエアリスと一緒に見に行きたい。」







「それに言ったろ?“一緒に世界を見に行こう。世界中の花という花をみせてやる。”って」




「‥‥‥。」








───…私は









世界がどんな色をしているのかなんて知らない。

世界はどんな形をしているのかも知らない。

世界にはどんな人達がいるのか見当もつかない。

世界にある沢山の名前、私が知ってるのなんて片手で足りてしまう。



でも、




ザックスは知ってる。



世界の色
世界の形
世界にいる色んな人達
世界にある色々な名前



なのに




私と見たいからだと言って作ってくれた真っ白な手作りの世界地図。



私へのプレゼントの筈なのに






用意してくれたザックスの方が



すっごく楽しそうで







世界なんて見なくていい
知らなくったってかまわない



普通に平穏に生活できれば私は幸せ。




そう、思っていた筈なのに







今、私は













──‥世界を、見たい。




この人と世界を歩きたいと心から思ってる。






ふふっ。すごく不思議。




「どう?気に入った?」


「すっごく!」


「本当!?じゃあ二人で世界を旅する時は必ずコレを持ってってよ。色んなこと書き込んでいこうぜ!」



「じゃあ赤ペン。必要だね?」


「?何で?」



「クスクス。世界、きっとこんなに歪んでないでしょ?」




ふふっ。やると思った!




私がいじわるを言うとザックス、ガックリ肩を落とすの。



それからね?



「エアリス〜」

ふふっ。私の名前を呼びながら捨て犬みたいな眼で見るザックス。


「俺だってたまにはいじけちゃうぜ?」


ほら。
「ちぇ」って言って髪をガシガシとかいてザックスのごまかしたりする時の癖。




クスクス。でも今日は、いつもと違って、少し唇を尖らせてるけどね。




「ふふっ、ザックス。ありがとう」


「どういたしまして。」


「私ね?」


「ん?」



「こんなに嬉しい特別なプレゼント初めて!」


「とーぜん!俺の愛情がいーぱい詰まったプレゼントなんだ。大事にしてくれよな」






「ねぇザックス?」


「うん?」


「“ミッドガル”は、もう書いて良いの?」


「おいおいエアリス、わかってないな〜」

ザックスが肩を竦めながらヤレヤレといった感じに言ったけど、


「なんで?」


そんなに楽しそうなの?

ふふっ、ちらっと私を見た眼がキラキラしちゃってるよ?






「もちろん!二人でミッドガルを出ていく時に書くからに決まってるじゃない!俺達の“はじまりの場所”だ。」



「はじまりの、場所‥‥うん。いいね!それ」



「抜け駆け禁止な。」


ザックスの出した小指に私の小指を固く結んだ。


「ザックスこそ、忘れないでね?」












『君と見る夢』



それは、沢山の夢と愛情が詰まったまだ知らない世界。



お店に並んでるどの世界地図でも



この歪ですごく変な世界地図には敵わない。












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いかがでしたか?


→あとがき

2010 02 07


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