「なぁお前この前の非番どこにいた?」
「ん?何で?」
「いや、ケータイに連絡しても返事来なかったからさ」
「あー。女の子と居たよ」
「やっぱりな、まぁそんなとこだろうとは思ってたけどな」
「だって俺、男の子だしさ!」
言いながら黒髪の青年はニカッと笑った。その笑顔にはまだまだ少年ぽさが残っている。
「お前は軽いな〜。どの娘とも長続きしないじゃないか」
「失礼な!俺だってその時は本気なの!ただ、女の子ってみんな良い娘ばっかりだから目移りしちゃうんだよな〜」
「そんなんだと運命の相手が現れたときに気付けないぞ。」
「…運命の相手?なんだそれ」
「自分が『この娘だ!!』って思える娘のことだよ。」
「なんだ。じゃあみーんな俺の運命の相手だったよ」
「はぁ。わかってないな〜ザックスは」
「あっ!なんだよそれ!じゃあカンセルはどうなんだよ!?そんなん言うからには運命の相手ってやつに会ったことあるのか!?」
「いや、まだだけど俺はお前と違って寄り道はしないんだよ。その娘だけを探してんの!そんな簡単に見つかるもんじゃないんだって運命の相手っていうのはさ」
「…ふ〜ん。」
「な…なんだよ?その態度は。」
「べっつに〜。じゃあ俺は任務あるからまたなー。」
「あっ!おいザックス!?お前、今俺の事バカにしたろ!?なぁ!?おい!!」
遠くで叫んでるカンセルの言葉を聞きながら俺は思ったんだ。
寄り道して何が悪い?
だから俺はこの後も寄り道ばかり。
だって君に逢うなんて
『この娘だ!!』って思える娘が本当に居るなんて思わなかったから。
数年後、俺はスラムの教会に落ちた。
『寄り道・どのみち・キミの未知』
落ちて頭を打ったせいじゃない。
本当に本物の天使に見えた。
本物の天使に会ったことなんてないけど
でも、そう思ってしまうほどの娘だった。
「私、エアリス。」
いい声、だな。
エアリスの説明と俺の記憶を照合すると、どうやら俺はプレートの上からプレートの下まで落ちてきたみたいだ。
ソルジャーとはいえよく無事だったな。
「なんかお礼をしなくちゃな」
「いいよいいよ」
「そうはいかない」
「そうだ!デート一回」
「何それ?ばっかみたい」
「俺とまだ離れたくないんだろ?」
「うん。」
「また会えるよね?」
「もちろん!」
あの日から早くも数日が過ぎてしまった。
「エアリスー!!会いに来た!!」
「ザックス!いらっしゃい。久しぶりだね?」
「おう!本当はもっと前に来たかったんだけど中々休みが取れなくてさ〜」
「ふふっ。もう来ないかと、思ってた。」
「えっ!?なんだよそれ〜」
「ウソ。ジョーダンだよ?」
エアリスと知り合って初めて自分から会いに行った。
エアリスと過ごす時間はすごい楽しくて時間なんかあっという間に無くなっていくんだ。
RRRRR…。
「!」
ほらな?
「…はい。」 ピッ
「お仕事?」
「うん…。」
無機質な電子音が憎い。
「そっか。気をつけてね?」
「絶対またすぐ来るから!絶対に!!」
「うん。待ってるね。いってらっしゃい!」
「いってきます。」
エアリスに逢ってわかったよ。
どのみちあの時の俺は寄り道を止めることなんて出来なかったんだ。
だってどの娘もアンタじゃないから。
こんなに別れるのが惜しいなんて思ったことなかったよ。
なぁエアリス?俺さ今まで知らなかったんだけど、エアリスに会って初めて知ったんだ。
「エアリスー。会いに来た!」
「あっザックス!おかえりなさい。」
「え?」
「?どうしたの?」
「いや、その…」
今“おかえりなさい”って…
「クスクス。」
「わ、笑うことないだろ?」
「何か、変なんだもん。」
「だってエアリスが“おかえりなさい”っていうからさ」
「?私、間違えた?」
「いや、多分間違ってない。」
「ふふっ。おかえりなさい、ザックス。」
「ただいま、エアリス。」
きっと寂しかったんだ。1人で居ることが、だから女の子とばかり遊んでた。
でも、あの日からは何か違うんだよ
1人の時だってエアリスの事を思えば心が満たされる。
どんな時どこに居てもエアリスの声が聞こえる。
そんな俺はもう無敵。
本当、そんなのアンタが初めてだよ。
俺自身も気付けない俺をエアリスは気付かせてくれる俺にとっての1st。
だからさ、思わずにはいられないんだ。
俺もまだ知らない色んなエアリスを見たい。
アンタすらまだ知らない色んなエアリスを知りたい。
俺にとっても君にとっても君はまだまだ未知数、だろ?
だからこそ俺はエアリスに夢中なんだ、それはまるでメリーゴーランド。
何度会っても飽きない。
カンセル俺は『この娘だ!!』って思える相手に出会ったぞ!!
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毎日気付けばこの2人の事を考えてます。そんな私のほうが“何度会っても飽きない。”と思ってます。
幸せになって下さいね。
2010 03 22