人が好きだ。
でも、こんな風に人を好きになったのは初めてで
手離したくなんてない。
今、生きられるなら俺の持ってるもの何でも差し出してやる。
何かを代償に生きられるなら
なんだってやる。
人魚姫。アンタみたいに俺にも居るんだ。
想いを伝えたい相手がさ
海に住む魔女が神様に見えただろ？
声と引き替えに足をもらった人魚姫。
どうしても、想いを伝えたい相手が俺もいるんだ。
大事な約束。
散々ひとりで待たせた。
まだ大事なことを伝えてないんだ。
どうしても、帰ってやりたい。
帰りたいんだ。
だってよ
アンタの気持ちも分かるけど
王子さまだってさ可哀想じゃない？
助けてくれた相手と結婚できるなんて浮かれてさ
だーれも本当の事、教えてくれないんだぜ？
でも俺は違う。
俺の相手は、ちゃーんと俺のことを助けてくれた女の子だし
もし、声を無くしたなら
自分の手で手紙を書く。
そして
自分の足であの子の場所まで行き
自分の耳であの子の声を聞いて
自分の眼であの子を見つける。
それから
自分の腕であの子を強く抱きしめるんだ。
足の痛みなんて関係ない。
自分が望んだことじゃないか。
足が痛くったって声が無くったって命があれば、いくらだって俺は自分を伝えてやるさ。
人魚姫。
アンタの一番の不幸は
王子さまの何も知らないままの勘違いや
目の前で幸せな二人を見たことや
髪を切ってくれた優しい優しい姉妹を遺してしまったことや
泡なっていったことでもなく
手を伸ばし続けられず最後の一歩の踏み出し方を知らなかったこと。
気づいただろ。
泡になって消えていく時に
アンタは間違えた
足の使い方を
王子さまを殺しに行くぐらいなら、そのまま抱きしめてみればよかったんだ。
アンタは最後、風とともに雲の上にのぼりこの世界の大気となる。
そこから愛しい人を見守り続けるんだ。
でもよ
それって本当にハッピーエンドか？
俺はずっと一緒にいたかったよ。
隣で一緒に笑い合っていたかった。
俺ならアンタみたいな結末になんてしない。
俺にとって海の魔女は天でふんぞり返って見てるだけの神よりも、ありがたい存在。
どうぞ俺にも手を差し伸べてやってくれ
俺が
最高のハッピーエンドの仕方、見せてやるよ…。
-----------------
いつも通りの『暗い』『悲恋』『意味プー』でした。まぁ人魚姫を読んだときの感想と言うか気づけばできたものです(汗)なんでもザクエアに変換しちゃう病です(笑)
2011 01 23