ねぇザックス。
私ね、いつもザックスの事、見てるよ。






例えばね?





「エーアリス」



こういう時はただ名前を呼んだだけ。


「なに?ザックス」


だから返事だけ返して私はまだお花達の手入れを続けるの。


「呼んだだけ。」


ほら、ね?

そういってザックスはニコニコ笑う。





ザックスの笑顔、私は好き。






「なぁエアリスー?」


ふふっ。今度は振り向いてほしいみたい。


「何?ザックス。」


だから、今度は手を止めて椅子に少しそわそわして腰を掛けてる彼に振り向いて返事をするの。



「ううん。ちょっと呼んだだけ」


「そう?」


ふふっ。本当は何となく分かるの。




今日ザックス、ココに来てから私ずっとお花達の手入れしてたからだよね?


ザックスのこと全然構ってないから何回も私のこと呼んでみてるのよね?



でもね。ザックスは優しいから。


この子たちの手入れ、邪魔しちゃいけないって思ってくれてるから、私の名前。呼ぶだけなんだよね?



私がこの子たちの手入れ終えるのを待っててくれてる。


ニコニコしならがら文句も言わずに。



だから、ザックスの笑顔は優しいの。



だから、ザックスの笑顔が好きなの。





ちゃんとザックスの事、見てるよ。





「ザックス。お待たせ」



そういって、パンパンと両手と膝辺りの泥を落として身体全体で作業が終わったことを告げると、


「もう良いの?」



何だか顔がキラキラしてて、まるで本当に





「子犬のザックス。」

だね?




「えっ?」


「ううん。何でもない、呼んだだけ。」


「な、何でエアリスがそれを知ってんの!?」



「うーん…。ヒント!黒スーツ。」


「…ツォンか」


「ふふっ。あたり。」


「あーぁ。エアリスにはカッコイイ男の俺でいたかったのになぁ。ツォンの奴め余計なことを」


「何で?私、どっちのザックスも好きだよ?」





「…エアリスはずるいよな〜」



「いや?」




言いながらエアリスはザックスの隣に腰を掛けてザックスの顔をのぞいてみた。

少しお互いに見つめ合ってからザックスがエアリスの膝の上にゴロンと寝っころがった。



「はぁ。だってさ、頼りになるところを見せたいのに、ついエアリスに甘えさせられちゃうんだよな俺。」



「ふふっ。私、ザックスのこと頼りにしてるよ?」



「本当〜?」


「うん。ザックスは?」


「俺?俺はエアリスに依存してんな〜。エアリス依存症!」


「なにそれ?」


「ばっかみたい?」


「かな?」


「エアリス〜。」


「うそ、ジョーダン。ごめんね?」


「もう勘弁してよ。」




私の膝の上でコロコロ表情を変えるザックスは。




その時その時の表情と一緒に、尻尾が付いてたらなんだか忙しく動いていそう。


「どうした?ニコニコして」

「何だかねザックス、本当に、子犬見たい。」


「え〜。…まぁでもエアリスが飼い主になってくれるならそれも良いかもな」


「本当〜?」


「本当本当!ただそん時は子犬じゃなくて忠犬な!」



「忠犬?」


「いつでもどこでも飼い主のピンチに駆けつける優秀な忠犬!どう?」


「ふふっ。頼りにしてます。」


「わん!」


ザックスはニッと白い歯を見せて笑いながら敬礼のポーズをとって答えた。



つられてエアリスも同じポーズで答える。




よっ!とザックスは起き上がりエアリスの方を向くと口の端を軽く持ち上げて優しく笑いかけた。



「だからさ。」






「エアリスはこれからも俺の事よく見ててよ!」



「うん。」







大丈夫。



私、これからもザックスのこと、見てるから。



いざって時はザックスのこと、頼りにしてるから。






ザックスは、もっと、私に甘えてきて良いよ?




だって、それはザックスだけの特権だから。






私は、今までもこれからも、ザックスの笑顔。見ていきたい。






『愛犬家』




彼女は花の手入れと犬とのスキンシップを欠かさない。




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このサイト初のザックス生存時の話です。ザックスに出逢ってエアリスの日々は大きく変わったに違いない!!きっと2人とも幸せだったと信じてます。(`・ω´・)b

2010 03 21
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