『紅空』







「なぁエアリスー?」


「なぁに?」


「俺、ヒマかもよ?」



言われて、お花たちのお世話していた手を止めて振り返ってみると




椅子からは身体半分がずり落ちていて足を両方とも投げ出してるだらしない格好のソルジャーが1人。


ふふっ。全然「ヒマかも」なんて言うより、あきらかに「ヒマ」って言ってるようにしか見えないよ?




「もう少しで終わるんだけど、ザックス何かやりたいこと、ある?」


「マジ!?んー‥そうだなぁ」




私の言葉に勢いよく反応したザックスは椅子の上で胡座をかいて何か色々と考えてるみたいだけど




クスクス、本当。ザックス何やってても楽しそうで、見てる私までつられて笑顔になっちゃうの。




これも才能なのかな?



















あっ。


ザックスが何か思い付いたみたい。



ほら






耳と尻尾が付いてたら「ピーンッ」って立ってたかもよ?



クスクス。すっごい満面の笑みでこっちをみてるんだもん。






すごく分かりやすい





「はい!」


ほらね?当たり




「はい。ザックスくん」





ふふっ。さて、この子犬くんは何を思い付いたのかしら?









「あのさ、ゲームしようぜ!」

「ゲーム…?」


「そうそう。」





「ゲームってどんな?」


「今から俺が色々仕掛けるからエアリスをドキドキさせられたら俺の勝ち!その時はご褒美ちょーだいよ。」


「私がドキドキしなかったら?」


「その時はエアリスの勝ち。」



「うーん。ご褒美って何すれば良いの?」







「キスなんてどう!?」


「良いけど私が勝ったときはザックス、何してくれる?」


「え?う〜ん…何が良い?」






「特にない、かな?」

「えっ!?マジ!?それはそれでショックなんですけど〜」



あ。ザックス、がっかりさせちゃった。





うーん、でもね?






私、ザックスが一緒に居てくれればそれだけで良いからな〜…





それ以上って言われると、難しいなぁ。









「…じゃあさ、エアリスが勝ったらそん時に何か決めてよ。」





「うん。そうするね」






「よーし。じゃあ今からスタートな!」

「え?もう、今から!?」



ザックスがパンッと手を鳴らして早速ゲームスタート!は良いんだけど、


ザックスが何かドキドキするような事を仕掛けてくるってわかってたら、ドキドキってなかなかしないんじゃないのかな?


















‥‥あれ?





ザックス、さっきと同じように椅子の上で胡座かいてニコニコしてるだで






まだ、何かを仕掛けたり、してこないのかな?






「…私、お花たちのお世話の続き、してても良いの?」

「おう!好きなだけやってて良いぜ?」







「‥‥‥うん。」




なんか、かえって不気味かも…












なにを仕掛けてくるんだろ…







いきなり目の前に虫のおもちゃを出したり?






後ろから「わっ!」って驚かすのかも






あっ。それとも何か魔法を使ったりするのかな?














うーん。なんだろ…












「エアリス。」



いつの間にかザックスが目の前に居て少しビクってなっちゃったけど、




まだ、セーフよね…?








顔を上げたらやっぱり虫のおもちゃかな?





それとも何か変なお面なんか付けてるのかも。





それか何か子供みたいなイタズラ、しかけてみしたりかな?






ふふっ、なんか今が一番ドキドキしてるかもね?







ふぅーー‥。








うん、大丈夫!心の準備は出来た。






さぁザックス、かかってきなさい。







「なーに?──‥!」











心の準備は万端だったのに私は













ドキッとさせられた。



だってザックスさっきまであんなに人懐っこい笑顔だったのに




今は…





見たことないぐらいに真剣な顔をしるんだもん。





しかも、ちょうど後ろから天井の穴から入ってきている光が射していて








すごく、綺麗で‥‥












‥‥なんか、ずるい。





私はそんな内心を悟られないようにしながらザックスを見つめ返したけど





なんか、見れば見るほど墓穴を掘っちゃいそう。








例えばね?



改めてみるとやっぱりザックスって整った顔してるなぁ



とか



ザックスの匂いが近いなぁ


とか



ザックスの息づかいまで聞こえそう




なーんて、ほらね?




やっぱり、墓穴ばかり掘っちゃってる



でも






視線。外せなくなっちゃったな…





このままザックスの瞳の綺麗な青に吸い込まれそうって思ったとき勝手に身体の力がスー‥。って抜けてく感覚がして



あっ。まずいかな?って思ったちょうどその時に





ザックスの手が私の腰に軽く回されて、まるで吸い込まれるように腕を引き寄せられ




お互いの顔がさっきよりも近くなった…。


「……っ!?」







ドキドキどころか驚きすぎて私の時間全てが止まっちゃった。










「どう?ドキドキしてる?」




そう言われた耳が──‥




















───すごく、熱い。








でも、ドキドキじゃ…ない、から









「ふふっ、残念。」




そうは言ったけど、ずいぶんギリギリ。



今日のザックス、いつもと違うかも。




なんでだろ?








そういえば確か、勝ったときはご褒美。なんだよね?







私だって勝てたらご褒美なんだもん。頑張らなきゃね。




ご褒美、何もらおう‥‥。



一緒に居られる以上に欲しいもの…









やっぱり、一緒に居る以上って言ったら…





















───触れていたい。










ふふっ。でも、それは恥ずかしくて言えないからな〜。どうしよう、ザックスにしてほしいこと…















うーん、なんだろ…







「あっ。」

「え?」

なに?どうし──‥






─────!!?




声につられて顔を上げたらザックスが私の顎を軽く持ち上げて…







気づいたときにはザックスと私の唇は











───触れ合っていた。





「んっ…」















不意打ちすぎるザックスの攻撃に解放されて文句の一つでも言おうと思ったのに





「これでどうだ」






…そんな子供みたいな台詞のくせに






そんな すました笑顔で言うなんて
















どう考えても、ずるい…。





───‥ぽすっ



はぁ‥‥。





私、顔真っ赤なんだろうなぁ。耳どころか身体中が熱い…




「おろ?エアリス?」



「‥‥‥。」








あんなの…


























ドキドキしないわけ、ないじゃない。







「ザックス、ずるい」




「ドキドキした?」












クスクス。





あ〜あ。もう、なんか今回やられっぱなしだな〜



でも、


























貴方なら、かまわない。






「エアリス?」





「うん、した。」



そう言って私は軽く背伸びをしてザックスの顔へと私の赤い顔を近づけ二人の間の距離をなくして












子犬に“ご褒美”をプレゼントした。







私がザックスにドキドキするように




ザックスも私にドキドキすれば良いのにな…。












「‥‥‥。」







?あれ?



「ザックス…?」


「な、なに?」




ザックスが自分の手で顔を隠しちゃってよく見えなくなったけど…




確かめようと顔を覗きこんだら








あ。






よけいに顔、反らされちゃった。









「あ、あのさ…ちょっ」

「?うん。」



うーん、まだちょっと見えにくいなぁ





「あ゙ーーー!もう!ちょっとタイム!!!」


「タイム…?」





なんで?









──グイッ



「可愛すぎだから!」








「えっと、ザックス、顔…」


「‥‥‥しょーがないだろ。」






‥‥‥ふふっ、やっぱり──







──見間違いじゃ、なかった。














「ドキドキした?ソルジャーさん」




「…してないと思ってるわけ?」



そう少し口を尖らせながら言ったザックスの顔は





私と同じぐらいに紅かった。









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相互記念で涼様に捧げます(*^▽^*)寒さも吹っ飛ぶようなほのぼのラブラブザクエアのハズだったのが逆に寒さを呼び込む結果に…(;_;)すいません話の通じない奴で(涙)愛はたっぷり詰まってます!!

2011 01 11


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