4000hit感謝祭
フリー短編
『ヒミツな二人』
「ただいまーエアリス!」
ザックスが扉を開け、中に入るとエアリスは肩を揺らしながら先客と楽しそうに話をしていた。
「ふふっ。ツォン、相変わらず真面目すぎよ?」
「そういう性格なんでな。知っているだろう?」
「うん。昔からだもんね?」
(俺が来たことに気づいてねーし…)
「…おーい。エアリス」
「あれ?ザックス。おはよう」
「‥‥ただいま。つーか何でツォンが居るんだよ!?」
「仕事だ。」
「…ずいぶんと楽しそうな仕事だな。」
「ザックス?」
「…なに?」
「なんか、怒ってる?」
「べっつに〜」
「男の嫉妬はかわいくないぞ」
「ウッセェ!!用が終わったんなら早く帰れよな!」
「あぁ。そうするさ、エアリスじゃあな」
「うん。」
──バタン‥。
ザックスはツォンが出ていくのを最後まで見届け、扉から視線を外さずすことなくエアリスに静かに話しかけた。
「…ツォンと楽しそうに話してたけど?」
「ふふっ、うん。」
「…なに、話してたの?」
「うーん。ちょっとね…」
「あっそう」
ザックスはそう言うと振り返り無言のまま一番前の席
───つまりエアリスから一番遠い席にドカッと腰をかけゴロンと寝っ転がった。
(面白くねぇっ!!)
「…ねぇザックス?本当にどうしたの?」
「……。」
「何かあったの?」
「別に…なーんにも」
しかし、ザックスはエアリスを避けるように背を向け眼を合わせようとはしなかった。
「“複雑な関係”、ねぇ…。」
「複雑な関係…?」
「……。」
「ねぇザックス、何か言ってくれないと私。わからないよ?」
「ザックス‥」
「…エアリスはツォンとヒミツを共有してる。」
「え?」
「それも一つじゃない。何個もある。」
「それは…」
「それは?」
「‥‥。」
(ほらみろ!俺には言えねーんだっ!)
「ザックス、ツォンが気になるの?」
「ツォンとのことが気になるのっ!」
「なんで…?」
「何でって、ツォンばっかりズルイだろ!?俺はエアリスとのヒミツ持ってねーもん!」
「クスクス。ザックスそれで怒ってたの?」
「…そーダヨ」
「ふーん…」
(ふーんだって!ふーん!も知らね!)
(エアリスはぜんっぜん分かってねーんだ!俺がどんなにエアリスのことを好きかなんて、ぜんっぜん分かってねぇ!)
(もう今日は口きいてやらねーんだ!)
(いや、目も合わせねぇ!エアリスが謝るまで抵抗してやる!!)
「ザックス…?」
(ふーん。無視無…
───chu‥。
(……え?)
「えぇぇぇぇ!!!??」
ガタガタンッ!
スゴイ音と共にザックスは椅子ごと後ろにひっくり返った。
「いつっ…エエエエアリス!?いま、鼻に‥」
(‥‥キ、ス‥した?)
「ふふっ。ね?」
「な、なン、で…?」
「ふふっ。ザックスと私の二人だけのヒミツ。」
「二人の‥‥‥ヒ、ミツ‥。」
「ツォンとは‥ううん。他の人とはこんな事しないの、ザックスとだけのヒミツ。」
「俺と、だけ…?」
「うん。ザックスとだけ」
(って、うわあぁぁ。ヤ、ヤバイ…!!)
(顔が…マジかよ…)
ザックスは自分の両手で締まりの悪くなった顔を覆い隠しその場にうずくまった。
「嫌、だった?」
「んなワケねーじゃん!!むしろ、嬉しすぎて困っちゃうぐらい、なんだ、けどさ、ただ…」
「ただ?」
「ほら、な‥そのねぇ?」
「?なーに?」
「どーせなら唇を奪ってくれて良かったのに、てな」
ザックスが歯を見せながらイタズラっぽくニカッと笑うとエアリスも首を少し傾けながらふわりと笑って‥
そして
「だってそれはザックスの役目、でしょ?」
(‥‥え。)
(それって、‥‥)
「待ってるね?二人の新しいヒミツ」
「…///頑張りマス。」
「ねぇザックス?」
「え?お、おう」
「私、一番にザックスが好きだよ。」
しゅーーーーー───‥
ボンッッ!!!
「きゃっザックス!?」
ザックスは煙を上げながらその場で固まってしまった。
魅力とヒミツだらけの君に俺は青くさせられたり赤くさせられたり振り回されっぱなし
でも
そんな君だけが、
俺をドキドキさせられる。
なんてことは俺だけのヒミツだったりするんだけどな。
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おかげさまで4000hitありがとうございます!!
めでたい!という訳で珍しく甘めなザクエアというよりは、エアザク気味ですが、よかったらどなたでもご自由にお持ち帰りください(^_^)
ありがとうございました。
2010 12 04