「あっ!そうだった。」
「どうしたの?」
「クラウドに電話してくれって言われてたんだったわ」
ティファが自分のポケットをゴソゴソして携帯電話を取り出した。
「ゴメン。エアリスちょっと電話してもらっても良い?」
エアリスは「いいよ」と言いながら食事の支度で手の放せないティファに代わりにクラウドに電話をすることにした。
って言っても…
携帯電話を使ってる人は見たことあるけど…私、使ったことってないのよね〜
うーん。わからん
「エアリス?」
受け取った携帯電話と睨めっこをしているエアリスを不思議に思ったのかティファがキッチンから顔を覗かせた。
「うん?」
「…大丈夫?」
「へーき へーき!」
「メモリーの出し方わかる?」
「大丈夫よ。クラウドの番号覚えてるしね?」
「なら、お願いね」
ニコリと笑ったエアリスにティファも笑顔で応え食事の支度へと戻った。
えーと…
番号を押して…から、確か受話器のボタンを押すのよね?
えっと
090ー‥
プルルルルプルルルル─‥
ガチャ
「おかけになった番号は現在使われておりません。ご確認になって──」
「あれ?」
「どうしたの?」
「クラウドの番号、使われてませんって…」
「えぇぇ!!?そんなハズないんだけどな…昨日までは繋がってたし」
「でも、ね?」
エアリスが携帯電話をティファの耳元に持っていきティファが耳を携帯から聞こえてくる声にかたむければ
「おかけになった番号は現在使われておりません。ご確認になって──」
「本当だ…」
確かに受話器からは機械的なメッセージしか流れてこなかった。
「ちょっと貸してもらっていい?」
「うん」
ティファがエアリスから携帯電話を受け取りもう一度かけ直すと
プルルルルプル─ガチャ
「あっ。クラウド?」
「あぁ随分遅かったな。大丈夫だったのか?」
「あ、うん大丈夫。ごめんね?心配した?」
あれ?普通に繋がったみたい?
じゃあさっき私がかけたとき、何で…?
「うん。分かったわ。じゃあ、また後でね」
ピッとティファは携帯の通話を終えエアリスに「クラウド、繋がったよ」と一安心といった顔で告げた
「うーん。おかしいな〜。さっき何で私の時、繋がらなかったのかな?」
「ちょっと待ってね」
ティファはエアリスから見れば慣れた手つきで携帯をいじると
「あーやっぱり」
「え?なになに?」
「エアリスかけた番号間違ってたのよ」
ティファは可笑しそうに笑いながら携帯のディスプレイを見せた
「ね?ココが間違ってるの」
「‥!!‥‥‥。」
エアリスはディスプレイを覗き、言われた番号を確認すると確かに番号は
───‥当っていた。
しかし
それは‥
(あの人の番号‥。)
無意識の出来事だった…。
クラウドの番号は確かに覚えていて
でも…それでも……
『指先の番号』
それは、もうあの人へとは繋がらない。
身体に染み付いたあの人の存在。
残されたのは、切なさ、愛しさへと繋がる胸の痛み。
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無意識にエアリスがザックスの何かへと繋がれば良いと思って描きましたが、こんな事が旅の最中に一回でもあったら切ないッス(;_;)。
2010 11 15