「なぁカンセル。」
「んー?」

「お前ってさ」
「うん」



「普通?」

「は?」



「いや、お前って普通かって」

「なんだそれ?」




「いやーさ?普通って何かなぁって」


「普通は普通だろ」


「だからお前は普通か?って」


「そりゃあ俺は普通だろ」


「えー!?お前が“普通”なのかー!?」

「俺は至って普通だろ!?」





「じゃあさ!俺は!?」


「ザックスは変人」


「何だよそれー!」

「ハハハハ!素直な意見だ受けとれよ。」








‥────



あの時のアイツのアレはどういう意味だったんだろうな…。









『“普通”ってなに…?』












今日も俺はスラムに来ているわけだが




まだあの日以来エアリスとは直接は会ってないんだ




信じてはいないが、あの社内報が気にかかって会えないでいる。



俺はそういうのがすぐ顔に出ちゃうタイプだから何かを感づかせたら可哀想だしな。























…なんて言って










本当は俺のただのエゴなんだけどな









今、唯一の仲間なんだ。



アイツが生きてるって信じてる唯一の仲間。







だから、なんとなく会いづらい…。どんな顔をすりゃあいいかわかんないんだ。
















な?











俺はただの普通の情けない男だろ?








まぁだから今日もこうやって遠くから見守ってるだけなんだが




何故だかタークスも常に見守ってたりする




「まぁ端から見れば俺は不審者かストーカーだな」



でも、なんでタークス…?








そんなことをぼんやりと考えながらエアリスのあとをつけながら…

いや、




見守りながら行けば







パタンッ



──…今日も教会か。




何か教会の中にあるのか?





おっと。今日もタークスの奴が扉の前で待機するのか…。












じゃあストーカーは大人しく退散するかな。教会に入った後はあの子なかなか出てこないし、タークスがずっと付いてから安全だろ。























って、あれ?
俺、居る意味あんのか…?



































「おぅ!カンセルお帰り」

「おー。」


「どうだった?なんか成果はあったか?」


「何がだ?」


「何がってお前最近は随分と熱心じゃないか一部じゃ出世を狙ってるって噂だぜ」






「なんの話だ?」


「隠すな隠すな。ほぼ毎日監視しに行ってるじゃないか」






「…誰を?」


身に覚えがないし


俺はそんな暇人じゃないぞ。



「誰って古代種だよ古代種」


「コダイシュ?」


「なんだよ。とぼけんなって!教会の女だよ。あっ!大丈夫だって邪魔はしねーよ。それにタークスも周りをうろついてるしなぁ」









──っ!?まさか…





──‥



普通って何かなぁって




──‥



何故だかタークスが常に見守ってるから



でも、なんでタークス…?



‥───




──そうか…。そういうことか!





「なぁカンセル。巧くあの女捕まえられそ───っ!!!?」




ソルジャーどうしのケンカは御法度?




ンなもんクソくらえっ!!




まぁでも目の前の奴は倒れて完全にのびちまってるから



「ケンカにもならないか。」


いや、そんなことよりも














教会だ!!









───‥


タークスがずっと付いてるから安全だろ。


       ‥────






くそっ!
何が安全だ!?バカか俺は!


無事で居てくれよ!!










はぁはぁはぁ!




久し振りにこんなに必死になって全力疾走した気がすんな。脇腹が痛てぇッ!がんばれ。教会まであと少しなんだ…!







バタンッッッ!!




俺は教会の扉を勢いよく開け中をぐるりと見回したがエアリスは帰ったのかそこには居なかった。





「中が荒らされた形跡もないし、無事か…?」



にしても初めて教会の中に入ったけど…




「なんか外と雰囲気違うな…」




外からの見た目に反して中はなんか空気が違う気がする。



俺は教会の澄んだ空気を肺いっぱいに吸い込んであがった息を整えながら気になるあの言葉を静かに口にした。








「──…古代種、か…。」




さっき来る最中にケータイで神羅の科学部門のネットワークにアクセスして初めて古代種を知った。



そこに書かれていたこと…








今となっては世界にたった一人となってしまった種族。



そして、



それを神羅が欲している。







「…たった一人、ねぇ。」




なら俺は



唯一の仲間じゃなくて











「唯一の味方になろう。俺がエアリスの味方に」



それが俺のエアリスを見守る最大の意味になる!












ん?




何気なく上を見上げれば




──‥穴‥‥?





あぁ!アレか!?
ザックスが前に言ってたアイツが落ちたときに出来たっていう穴ってのは。




「…よく生きてたなアイツ。不死身か?」




グシャ




穴の真下まで行ったとき俺は何かを踏んだらしく床とは違う感触を足に感じた。



「んん?花、だよな?珍しいな」





「あーーー!!!」



俺がいきなり聞こえた声に肩をビクッとさせゆっくりと扉の方を見ると



「エアリス」


がなんかスゴイ形相で俺を睨んでる




「お花、踏まないで!」


「…え?」


「お花。踏 ま な い で!!」




え?花?あぁこれか!?




「いや、あの、その…悪気があった訳じゃ…」



「早く!」


言われて慌てて退いたけど、






エアリスはスゲー怒りながら近づいてくる…!




ヤ、ヤバイ!






どうしたらいいんだ!?





普通こんなときはどうするべきだ!?










モ、モンスター!!



そうだよ


怒らせたモンスターならば報復が面倒だから倒す!







けど…














相手はエアリス!





ど、どうしたら…




「アナタ誰?なんで…」



なんで?なんで…




エアリスはこんなに恐い顔で怒ってるんだ…?











うぅぅぅうっ…



俺は君の味方になりたいわけで…!いや、でも今は現に怒らせてしまって…







えっと…その……





あぅぅぅっ…



















 戦う
→逃げる









「ゴ、ゴメン!!!!」




「えっ?あ。待っ…」



スマン!!ザックス──






俺もやっぱり普通じゃなかったあぁぁぁぁぁ!





こんな時はどうしたら普通は正解なんだ!?







「普通ってなんなんだぁぁあ!?」



俺の足はさっきよりも必死になって動いてた…。










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はい。スイマセン!いきなり皆さんのイメージしていたカンセルから光の速さで逆行したと自覚はしています(汗)『序』のカッコイイ彼は何処へやらな2話目で先が思いやられますが、まだまだ続きます(笑)

2010 11 12

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