「ミッドガルがあんなに小さく、すごい。」

俺達はミッドガルを見渡せる眺めのいい小高い丘にいた。






ここは…










空が、近い。













         『残』















「ねぇねぇクラウド?」



「なんだ?」




「順番通りにいけば私の方が先に死んじゃうじゃない?」



毎度毎度なにを急に言い出すんだこの女は…。



俺は驚きと呆れた気持ちで肩からガックリ垂れ下がりたいぐらいの気持ちになったのに何故か


















空を見た。







「順番通りにって言っても1コしか変わらないじゃないか」



「でも1コ違うもん。順番、私の方が先でしょ?」




「そうですね。お姉さん」


俺はヤレヤレといった感じに肩を竦めて見せながらため息混じりに答えた。



「だからね?クラウド。」

「何だ?」



「私が先に死んじゃったら何か良いもの、残していってあげるね?」



本当に何を言い出すんだこの女は。




「どこからきたんだ?この話の流れは」


「うーん」


エアリスは何かを考えてるように見せてるけど



考えてるんじゃない






躊躇ってるんだ









それを言うのを
















「空、かな?」





あぁ。俺にも分かるよ
その気持ち何となくだがな。






ここは空が










近いんだ。





「何か良いものって何だ?」


「え?うーん…何が良いかな?」



「決まってないのか」

「でもね?何かクラウドの癒しになるもの、あげたい」


「俺の癒し?」


「うん。クラウド1人で抱え込んで考え込む悪い癖。あるでしょ?」



知り合いになってからそんなに多くの時間を過ごしたわけではない



なのに




確かにそれは俺の悪い癖だとよく知った奴に言われたことがある。




「よく見てるな」



「あれ?言わなかったっけ?」

「?」



「だって私、クラウドのこと好きだから、ね?」



俺のことをまっすぐに見ながら言う碧の瞳が



魅力的だと思った。







2回目…か?





俺をまっすぐに見る魅力的な瞳。





でも確か







あれは碧じゃなかった気がする。









確か‥‥

「あ。そうだ!」


「ん?」


「お花たち、あげるね?クラウドならちゃんとお世話、してくれそう。教会のお花」


「‥‥あぁ。アンタが死んでからの話か」



「もう!忘れてたの?」



「アンタ死ぬのか?」


「例えばね。例 え ば」



「花の世話、か…」


「だからそれまでに使ってね?」






──何を?

















「可愛い花売りとの1日デート権」



俺はキョロキョロと辺りを見回しながら


「どこに“可愛い花売り”が居るんだ?」



「もう!クラウド!!」


「はははは」


そんな俺にエアリスは顔をふくらませて怒ってみせる



「なぁ?」

「なに?」


「そのリボンじゃダメなのか?アンタがいつもつけてるピンクのリボン」



「え!?こ、これ?これは…ダメ、かな。中身なら考えてもいいんだけど。」





「リボンに外見も中身もないだろ」



「いやいや、クラウドくん。あるのよ?意外と」



クラウドくんって、アンタ…。




「特別なの」



「どっちが?」


「外見とその内容。」




ん?内容ってなんだ?でもまぁとりあえず




「すごいリボンってことか?」


「うん。だからね?中身はクラウドにあげよっかな〜」



俺を覗きこむ顔は楽しそうで



アンタは怒ったり笑ったりと本当に表情がコロコロとよく変わるな。




「いらない。」



「え〜なんで?」


俺は自分の後ろ髪をガシガシと軽くいじる。




「いらないから…」




コロコロとよく変わるアンタを見ていたい。






──‥クラウド1人で抱え込んで考え込む悪い癖。あるでしょ?‥──






だから













「残してアンタ一人居なくならないでくれ」





俺もいつかアンタの悪い癖を指摘できるぐらいに






なってみたい。





だから──‥。







「ふふっ。デート、楽しみだね?」





「さぁな」



「もう。素直じゃないなぁ」



例え、この世界がいなくなっても




アンタだけは残っていてくれ




















俺はアンタと残りたい。







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糖分0calですが、これはクラエアだと言い張ります(`・ω´・)
この二人に会話させるのなんとなく好きなんです(*´∇`*)

2010 11 06


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