恋のはなしをいたしましょう


5話冒頭にハレルヤが言っていた恋愛話をする4人


「てめーらなんでここにいるんだよ!」

俺の視線の先にはディランディ兄弟がいる。ちなみにここは俺とアレルヤの部屋。そして今は風呂入った後。普通なら各々自分の部屋に戻って寝る準備をする時間だ。なのにこいつらはここにいる。

「いいじゃねえか。ほら、ハレルヤもアレルヤも座れよ!」
「なんでてめえに言われなきゃなんねえんだ。つか居座ってんじゃねえよ!」

どれだけ怒鳴ってもライルはへらへら笑うだけだ。ニールは若干申し訳なさそうな顔をしているが出て行く気はないらしい。

「まあ、もう何言っても無駄だろうし…座ろう?ハレルヤ」

アレルヤはもう諦めモードだ。1人じゃどうしようもないと悟り俺も空いてる場所に座った。冬には炬燵に成り代わる小さいテーブルを4人で囲んで座る。

「で、なんでてめえらはここにいるんだよ」
「ん?いや別に用はないけど」
「帰れ」

冷たく言い放つと、ライルは「ひどい!」と顔に手をあて泣くふりをする。それも無視していると泣きまねをやめてぶすくれた。

「せぇっかくハレルヤとアレルヤと一緒に恋バナしようと思ったのによー」
「せっかくの意味がわかんねえよバカ」
「っていうことで恋バナしようぜ!」
「だから意味がわかんねえよ!」

会話になっていない会話に苛々する。頭を抱えているとアレルヤに諌められた。

「まあ、ほら、もう手遅れだからさ。ライルに付き合おうよ」
「そうだぜハレルヤ!もうこうやって座っている時点でここは俺の独断場だ!っていうことでハレルヤは好きな奴いるのか?」
「てめえが言うな!」
「すーきーなーやーつ!」
「はぁ…いねえよ」

えーマジ!?とライルが大げさに驚く。ニールも少し驚いているし、アレルヤは知っているかのように表情を変えない。
まあでも本当だし。今は好きなやつより生徒会のことのほうが大事だ。

「えーじゃあさ、今まで何人と付き合った?」
「なんで俺ばっか聞かれるんだよ」
「いいからさ!後でちゃんとアレルヤにも聞くよ!」
「ええ!?」

いきなり向いた矛先にアレルヤが驚く。そりゃあ恋バナしようぜって言ってんだから全員言うんだろうが。最初が俺ってだけだ。

「で、付き合った人数は?」
「ん?誰も」
「は?」
「だから誰とも付き合ったことねえよ」

2人が呆然と俺を見る。なんだよ、付き合ったことがないことの何が悪い!

「え、マジで?」
「嘘ついてどうすんだよ」
「えー…ハレルヤのことだからもう何人も食っちゃってるんだと」

ニールまでそんなことを言うもんだから少しショックを受けた。お前ら俺を何だと…。

「ほら、ハレルヤって意外と純情だから」
「「それはねえよ」」
「俺だって傷つくんだぞお前ら」

3人ともけらけらと笑い出した。こいつら酷すぎないか?

「まあそれは冗談として、ハレルヤは友達は多かったけど恋愛対象としては見てなかったみたい」
「へえ…なんかハレルヤらしいな」
「俺の話はもういいだろ。ほら次アレルヤ」

今まで普通に話していたアレルヤが急に黙り込む。別に聞かれて困ることねえじゃねえか。

「そうだな!アレルヤは好きな奴いるか!?」

ニールが嬉々としてアレルヤに尋ねた。なんでお前そんな楽しそうなんだよ。

「えっと…今はいないよ」

ニールが「そうかいないのか…」と1人呟いていた。なんか、アレルヤのことになると興味津々だなこいつ。

「今は、ってことは前はいたんだ。付き合ってたのか?」

ライルが興味ありげに聞いた。俺はもう知ってるからどうでもいいけど。

「あ、うん。中学のときに1人だけ」
「へえ!ハレルヤより進んでんじゃんアレルヤー」
「うるさい黙れ」

そう言うと思いっきりライルに笑われた。しばらくこれで遊ばれそうだ、むかつく。

「で、どんな子?」
「えっと、マリーっていう子なんだけど。僕たちの幼馴染の子なんだ」
「そうなのか?ハレルヤ」

今まで黙っていたニールにいきなり問われた。まあ黙っていることでもないので答える。

「ああ、マリーも双子でさ、結構仲良かったからな。結局恋愛じゃないってなって別れたけど。な、アレルヤ」
「うん。どちらともなく、自然消滅って感じかな」
「そっか」

なんでニールほっとしてるんだ?ニールも俺の視線に気付いたのかさっと真顔になった。

「じゃあ、次はニールね」
「へっ」

アレルヤの声にびっくりしたのか変な声を上げた。なんなんだこいつさっきから。

「あ、ああ俺ね。好きな奴ね。いるにはいる」
「ええ!?」

それにびっくりしたのは俺だけじゃない。アレルヤも、弟であるライルも驚いていた。

「な、なんだよ。いちゃ悪いかよ」
「いや悪くねえけど…。で?誰なんだよおい。フェルトか?ミレイナか?」

まさかニールに好きなやつがいたなんて。すごく興味がある。

「お前楽しそうだな」
「実際楽しいからな」

そう言うとニールは深くため息をついて「言わない」と言った。

「なんだよそれ!すげえ気になるって!」
「言わねえって言ってんだろ!絶対言わん!」

それならもう最初からいないって言っておけよ!ああもう気になる!

「今まで付き合ったのは2人!はい終わり!次ライルな!」

早口でそれだけ言うとさっさとライルにパスしてしまった。なんかずるい。

「はあ…じゃあ最後は俺か。好きな奴はいるよ」

もう何を言っても無駄だと思ったのかライルが先に進めた。っていうかライルも好きな奴いるのかよ!ニールと同じく興味があるので聞いてみることにした。

「で、誰が好きなんだ?」
「ん?ハレルヤ」
「ははは、冗談もほどほどにしとけよ」
「目が笑ってないんですけどハレルヤさん」

ニールも「なるほど、そう言っておけばよかったのか!」とか言ってる。てめえらひとを使ってはぐらかすのはやめろ。
とりあえずライルの頭を叩いて「じゃあ付き合った人数は?」と先を促した。
ライルも頭を擦りながら律儀に答える。

「えっと、3人くらい?」
「お前、8人はいただろ」
「あっ、ちょ、やめろよ兄さん」

あまりにもの多さに俺もアレルヤも呆然としていた。は、はちにん!?

「お前多すぎるだろ!」
「えーみんなが少なすぎるんだって」

断じてそんなことはない。こいつが多すぎるだけだ。

「ていうか誤魔化そうとするなよ」
「いや流石に多いかなって」
「やっぱ多いと思ってるんじゃねえか!」

もうこいつと話すの疲れる!

「えっと、なんでそんなに多いの?」

アレルヤが苦笑交じりに問うと、ライルはうーん、と考え込んだ。

「…まあ、来る者拒まず去る者追わずって感じ?」

こいつ最低だ。軽蔑の眼差しで見つめると、ライルが冗談ぽく「傷つくー」と言った。うぜえ。

「ていうか付き合ったこともない奴に文句言われたくねえなあ」
「てめえもう黙れ」






結局深夜の2時までこの話は続き、ようやく2人が帰ったころには俺もアレルヤも夢うつつで即ベッドに入った。
朝絶対起きれないなこりゃあ、と思いながらゆるゆると意識を手放した。


end.







これをしたいが為に5話で恋バナをしたという文を入れました。
ライルここですでに1回告白してますね!
あとニールわかりやすいですね!よくばれないですね!








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