- ただいまやさしい男キャンペーン中にて -
凵w愛の差だよね』の続き「倉持! ん!」
「あ?」
「ん!」
「は?」
「ん!」
「いや、ほんと何だよ」
「ん!」
「"ん"って言われてもわかんねえから。かろうじて何か求めてんのだけはわかる」
「今日は何日でしょーか」
「三月十よ……あ、そういうことか」
「お返しちょーだいな、倉持」
「……お前な、チョコボール一粒でお返しくれると思ってんのか?」
「三倍返し。それ常識」
「世の中そんなに甘くねえよ! ざけんな!」
「チョコボール一粒の三倍だから極細ポッキー三本ほしい!」
「それでもやらねえ」
「えー! 倉持のケチ! ケチん坊! そんなんだから彼女できないんだー!」
「お前にだけは言われたくねーよ! 変態が!」
「そーです、私は御幸君のためなら変態にだってなるもんね」
「そこはキメ顔でいうところじゃねーから。むしろもっと隠せ。そして鼻息を止めろ」
「へへっ」
「褒めてねえぞ。御幸もさっきから黙って見てねぇで何か言え」
「あー、そうだな。苗字、これ」
「え、御幸君…これは?」
「昨日ルーズリーフきれたって言ってたじゃん。一応バレンタインのお返し。どうせ貰うなら実用的なものがいいだろ。あとさ、食えなかったけど貰ったってカウントしたから」
「貰っていいの?」
「お返しだしな」
「み、みみみみ御幸くんから貰ったっルーズリーフとか使えないんだけど!」
「……苗字、ほんとにこんなお返しでいいのかよ……もっとなんかあるだろ」
「いやでもほんとーにルーズリーフ助かる! ずっと保存して眺めるだけで終わるかもだけど! ありがと、御幸君!」
「どういたしまして」
「そういうところほんと健気だよな、お前」
「健気でかわいくて可憐だなんて、そんな褒めても何もでないよ、何もくれなかった倉持くん」
「枕詞みたいにつけんな。御幸もいつの間に買ったんだ?」
「昨日の昼休み購買で買った」
「お前らしいっちゃお前らしいけど、来年は違うの渡してやれよ」
「……倉持、なんか世間一般にいう母ちゃんみてえ」
「あ?」
「それすごくわかる。おかんって感じ」
「…お前ら」
「「お母さん!」」
「やめろ!」