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「#年下攻め」のBL小説を読む
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あなたのためだけの


 
 「この下着、初めて見る」
 服を一枚剥いで現れたのは、胸元が花柄の上品なレースであしらわれた少し丈の長い純白のキャミソールだった。それは目を見張るほど名前に似合っていて、思わずごくりと生唾を呑み込んだ。
「スリップだよ。向こうで買ったんだけど、気に入った?」
「すごく。でもこれ、名前チョイスじゃないだろ」
「まあね、お友達がこれで彼もメロメロで夢中になるよって」
 やはりそうだと思った。衣類やアクセサリーなどに無頓着な名前が、いきなりデザインに凝った下着を購入するはずがない。そしてとある可能性に気づいてしまって、上がっていた気分は急転直下。名前はそんな俺の様子などつゆ知らず、嬉しそうにへらりと笑う。うっわ、かわいい。……じゃなくて、その前に確認しなければならない。
「……なあ、その友達って、もしかして男?」
「男」
 即答する名前に思わず大きな溜息をついて顔を手で覆う。
「ほんとに友達だよ? その友達のパートナーも男だし」
「…………」
「てつろーくーん?」
「おーい」
「顔がすごいことになってますよ?」
「…………正直に白状すると、似合っていてとてもかわいいと思うと同時に、その男の思惑通りに自分がハマっているのかと思うと、悔しいという感情も湧き上がっており、とても複雑な気持ちでいっぱいデス」
「素直でよろしい」
「これいつ買ったの?」
「だいぶん前。半年前くらい? これ、もう日の目を見ることはないと思ってたけど、ようやっとお披露目できてよかった」
 んふふと誇らしげに笑う名前にほんと似合ってるよ、と上から下まで舐めるように見る。名前の可愛らしいあどけなさの中に、大人の色気が垣間見えてとても魅力的だ。
「なんか脱がすの勿体ねーな。着たままやる? いや、でも待った。脱がしたい」
「鉄朗のお好きにどうぞ?」
「じゃあ両方、で」
 唇を重ね合わせる。閉ざされた下唇をそろりと舐めれば遠慮がちに小さく開く。そこに舌をねじ込んで口内を侵しながら真っ白なベッドにそのまま押し倒すと、名前の髪がシーツに散らばる。それから名前のありとあらゆる場所を夢中で貪って、見えないところに赤い印をたくさんつけて、深く深く繋がった。
 気づいた時にはスリップという名の下着はベットの端に追いやられ、しまいには床に落ちていた。すべてが終わったあと、名前は「結局こうなると思ったんだよね」とすこし枯れた声で呆れたように笑った。