×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


 06 また明日

「今日のメシなに?」
「お鍋」
「…昨日も一昨日も鍋だった気がするんだけどォ」
「鍋は鍋でも本日は鶏鍋。昨日はキムチ鍋だったでしょう?」
「いや、でも鍋だよね」
「明日は鯛の雪見鍋にしようと思う」
「いや、だから、」
「おいしいよね!」
「ちょぉぉっと、人の話を聞こうか」
「うん? なに?」
「あのよぉ、そろそろ鍋以外が食いてぇんだけど」
「ふーん」
「いや、ふーんて」
「じゃあ自分で作れば?」
「えっ」
「別に無理して食べなくてもいいし、銀ちゃん食べない分、神楽ちゃんと新八くんと三人で食べたらいいわけだし。だから銀ちゃん一人で食べれば? どうせ何作っても小豆乗っけて台無しにするし、食欲減退するし」
「うッ、……お、俺が稼いで高級食材を今度買ってきてやるからたまには違う料理とかどうよ?」
「銀ちゃんのいう高級食材って、もやしのこと?」
「ちっげえよ! こう、ステーキとかそういうのをだな、」
「ねえ、銀ちゃん」
「あ、はい。なんでしょう」
「銀ちゃんが、お金稼いだのっていつ?」
「…………やばい流れ来た。新八ィ、神楽ァ、助けてー」
「今二人はいないよ」
「さ、定春ゥ」
「神楽ちゃんがお散歩してるけど」
「まじでか」
「ねえ、ほんとにきちんとお金を稼いだのって何週間前? あっ、ごめんごめん、聞き方間違えちゃった! 何年前? あとさ、家賃を入れたのも何年前? 他の光熱費、食費、交通費など今現在全て支払ってる人は誰でしょうか?」
「春様ですッッ!」
「理由はわからないけど、定期的にボロボロの死にかけの瀕死の状態で帰って来て、起き上がれるまで側で介抱してるのは誰でしょうか?」
「春様でございますッッ!!」
「その通院や入院含めのものすごく高い医療費を払ってるのは誰でしょうか?」
「勿論、春様でございますッッ!!」
「そうだよね? さっきも言ったけどさ、文句言うなら食べなくても別にいいんだよ?」
「ごめんなさい、嘘です、美味しくお鍋をいただきます」
「いい返事です。あと心配をあまりかけないでもらえると嬉しいです。待つことしかできない人の気持ちも少しは考えて欲しいです」
「……」
「わたしは、銀ちゃんが元気だったらそれでいいから」
「……」
「だから早く、良くなってよね。そうじゃないとずっとグツグツに煮込んだ鍋料理が続くんだからね」
「……」
「……」
「いつもありがとな」
「どういたしまして」