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「#お仕置き」のBL小説を読む
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 15 目で語る

「ねえ、冷蔵庫にあったシュークリーム知らない?」
「シュークリーム?」
 さあ、そんなのあったっけか? と首を捻りながら昨日から今日にかけての自分の行動を顧みる。
 ……あ。
 ……そういえば。
 真夜中に目が覚めたとき小腹が減っていたので、冷蔵庫を物色した。その時、チルドに置いてあったシュークリームとちょうど目が合い、食したのだった。
 今頃そのシュークリームは俺の腸のどこかに凝縮されて収まっているに違いない。
「昨日買って、今日の仕事終わりの楽しみに、と思って冷蔵庫に入れといたんだけど見当たらなくてさ。間違えて野菜室のところに入れたかな?」
 ないなあ、とつぶやきながら冷蔵庫の中のものを一つずつ床に置いていく。このままでは冷蔵庫の中身を全て出して、食材をダメにしかねない勢いだ。
 咳払いを一つして、床に正座をし、正直に告白した。
「……わりィ、うまそうだなと思って食っちまった…」
 春は捜索する手をピタリと止めて、屈めていた腰を上げた。ゆっくりと振り向いた顔はそれはそれは可愛らしくにっこりと微笑んでいたのだけれど、目が一切笑っていなかった。目は口ほどにものを言う、なんて世間ではよく耳にするフレーズだけれど、まさしくその通りだったわけで…。
 俺はその場から逃げるように生クリームとカスタードクリームが半々に入ったシュークリームを探し求めてスーパーへと駆け込んだ。
 食べ物の恨みははやめに解消しておかなければならないことを、俺はよく知っていた。