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テーマ「推しとの恋」
- ナノ -


 05 正しいこと

 「これって、正しいことだと思いますか?」
 道に転がった物言わぬ首を眺めながら、ふいに零れ出てしまった疑問に、沖田さんはさあな、と軽く流すような相槌をうって、細い刀身の切っ先から零れる赤を懐紙でするりと拭きあげた。返り血で全身を赤く染めているわたしとは違って、沖田さんが赤いのは刀身だけだった。
「まあ、正しくても間違っていても、俺は近藤さんについて行くだけでさァ」
 彼は静かにそう言った。その時の顔の表情は前髪に隠れてよくは見えなかったけれども、声に揺らぎはなく、どこまでも真っ直ぐだった。彼にとって、その答えが全てであり、これからもそうあり続けるのだろう。
 処理は任せてさっさと帰るぞ、と彼は先を行った。その背中に置いて行かれまいと、ほとんど鈍になってしまった刀を急いで鞘に収めて後を追った。
「わたしは、そんな沖田さんについて行くだけです」
 彼はわたしの声に振り返った。ちょっと驚いたように目を見開いて「それは、正しくねェな」とおかしそうに喉を鳴らした。