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BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -


 24たとえ話

「ねえねえ。たとえば、」
「君が傷ついて」
「くじけそになったときは」
「必ず僕がそばにいて」
「「わらってあげるよその顔を〜」」
「なぜハモる。そしてどうしてそうなった。たとえ話がしたかっただけなのに。なんの話しようと思ってたか忘れちゃったじゃん。今頭の中アイビリーブインヒゥーチャーしてんだけど。責任とって」
「例えば〜って続いたらやっぱこうなるだろ」
「まあ名曲だからね、わからなくもないんだけどね」
「小中のどこかで絶対歌うだろ」
「たしかに通る道だけれども。あ、それでいうと中学で時の旅人とかめっちゃ好きだった」
「歌った歌った。でもそんときってこう思春期っつーの、こうなんか歌うことだせえって思ってて口パクだった」
「でもあれだろ。中三の合唱コンクールで超真面目に歌ったパターンだろ。金賞目指して」
「それ、まさにそれ」
「歌ってねーと女子めっちゃこええの」
「男子ィ〜ちゃんと歌って〜とかそんなレベルじゃねえから。もう殺意とか湧いてんのわかんだよ」
「は? なんで歌わないの? 歌ってないほうがダサいって知ってた? 歌ってない自分かっこいいとか思ってんの? マジふざけんな。みたいな」
「心折れるよな」
「それな!!」
「あー……」
「「女子まじこええ」」
「女子だけど否定しない」