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 100 寄り添う
(僕の想像する神様はいつもそうやって笑うと同じ夢主)

 昔から本当に変わらないと思う。
 纏う空気はどこまでも嫋やかなのに、どこか近付き難い印象を与える人だった。ぼんやりと外を眺めて縁に腰掛けているだけなのに、なぜか声を掛けづらくて立ち止まる。儚くて、どこか消えてしまいそうな、そんな不安に駆られるのだ。
 すると、こちらに気付いた迅はゆるりと首を巡らせて、薄い唇を動かした。
「春、おいで」
 彼は唇に柔らかな弧を描いていた。立ち止まっていたのが嘘のように自然と彼のとなりに足を運び、同じように腰かけた。やはり、となりへ行くといつもの穏やかな空気にあてられて頬がゆるむ。彼のとなりで見る景色は変わらない。
「おかえり」
 彼の左手を私の右手でそっと包んだ。あたたかい。迅は確かにここにいる。消えたりなんかしない。
「ただいま」
 わたしの不安を掻き消すかのような和やかな声に、安堵の吐息を胸の中にそっと落とした。