13
コンコン
「失礼します」
扉の中に入ると、ネテロ会長が座ってこちらを見ていた。4次試験後の船の中で、こうして受験生が一人ひとり呼び出されているのだ。
「さあここに座ってくれ」
促されるままネテロ会長の前に座る。
「まずはここまで勝ち残ったこと、おめでとう。ちょいといつくか質問しても良いかな?」
「はい」
まさかこれが最終試験?
人柄やハンターとしての素質を見られるのだろうか。
「まず名前さんはどうしてハンターになりたいのかな?」
会長の意図はなんだ…そう訝しげに思いながらもここは素直に答える。
「兄と、兄を奪ったヤツを探すため」
「なるほどの。今残っている受験生の中で1番注目している人は?」
「……一人には絞れない。99、403、404、405番」
「ふむ……では1番戦いたくない人は?」
「さっきと同じ4人」
面談はたったそれだけだった。これが最終試験というわけではなさそうだが、どう活かされてくるのかが全く読めない。
部屋を出た私はクラピカ達のもとへ戻るため、一人廊下を歩く。
不意に、ゾクッと寒気を覚えた。咄嗟に振り返るが誰もいない。
今確実に誰かに見られていたような気がするのに……。いつもとは違うねっとりした視線だった。
気味悪い……。
私はその視線を振り払うように小走りで4人の元へ戻った。
「……他のみんなは?」
「面談待ち」
「そう」
キルアと私だけか……
二人きりになると4次試験を思い出す。
"その兄探し、オレに手伝わせてほしい"
あの後いろいろと考えた末、私の中ではほぼ答えが出ていた。
あとはキルアに伝えるだけ。2人きりの今がチャンスかもしれない。
そう思って口を開いたちょうどその時、ゴンとレオリオとクラピカの3人が戻ってきた。
「ん? 今何か言いかけた?」
「ううん」
私はそう言って首を横に振った。
咄嗟に言葉を飲み込んでしまったけれど、また後で言えばいい。
その時はそう思っていた。
"また後"が来ないとも知らず。