うらがわ

うらがわ



『今日も一日お疲れ様です。無事に京に着きました。一人の私には大き過ぎる部屋も貸してもらえて、ご飯は美味しいし、明日からの仕事に気合が入ります。何か帰ったら作って欲しいものとかありますか?美味しく作るコツ聞いておきます。おやすみなさい。』


タバコの煙を吐き出して、あいつから送られてきたメールに目を通した。

今巷で噂になっている人斬り騒ぎ。裏で動いているのは高杉晋助だという話で、昔攘夷戦争に参加していたらしい玲の安全を守るために、京に行かせた。
不安にさせないよう、高杉や人斬りの事は伏せて、あくまで別の用事で京に行くことにさせたのだ。

メールの内容を見るに、気付かれてはいないようで安心した。最近何かと悩んでいるようだったから気にしていたのだが、大丈夫らしい。


「玲さんからですか?」

「ああ。元気にやってるらしい」

「嬉しそうでしたよ。料理の勉強になるって」

「料理で簡単に釣れんのはいつものことだしな、扱いやすい奴だよ」

「なんであんなに料理にこだわるんですかね。今でも十分うまいのに」

「そりゃあ、俺達にうまいもん食わせてやろうって思ってくれてるからじゃないのか?あと店開くのが夢って言ってたなぁ」

「玲さんがお店出したら、俺毎日通っちゃう自信があります」

「お妙さんと通おうかな、俺」

「それは無理だと思いますよ、局長」


ザキと近藤さんの会話を聞きながら、メールの返信をする。
メールや手紙は苦手だ。ついそっけない文章になってしまう。だが、いくらそっけない文章を送っても、あいつは俺が冷たく接したいと思っているわけではない事を悟ってくれるだろう。

『マヨネーズに合う最高のカツ丼期待してる。仕事頑張れ、無理すんなよ。』

あいつの知らない所で全て片付けて、また呆れたように笑っているあいつが見てぇ。



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