薄皮を剥いで
「ヤマトって、嫌な人」
「先生をつけなよ」
「まだ先生じゃないくせに」
「あれ、自己紹介したっけ」
「ウワサで聞きました」
教育実習って聞いて、遊んでみようと思った。それで手を出してみたらこの有様。
誰もいない廊下を、このヤマトという男と歩いている。
カカシセンセーと違ってきっちりとスーツを着こなしてるし、猫背でもない。目は猫みたいなのに。
「目的は?」
「なんの話かな」
「私を焚きつけて」
「気まぐれだよ」
「嘘でしょう」
「どうしてそう思うのかな」
「人間の行動には何かしら理由があるものでしょう」
「やっぱり馬鹿っぽい喋り方わざとだったんだね。そっちの方がいいよ」
「話をそらさないで」
「気まぐれなんだから話すことはないよ」
「正義のヒーローにでもなりたいの?私みたいなのを哀れに思って」
「そんなんじゃない」
「じゃあ何よ」
「気まぐれだよ」
話にならないんですけど。