部屋中のアルバムを全部ひっくり返した。
アカデミーの入学式のクラス写真に映る不機嫌そうな自分と、同じ列の正反対の場所にいるなまえ。少し固い笑みを浮かべるなまえに触れて、こんな事しかできない自分に嫌悪感を抱いた。
きっかけは、何気ない事だったのだ。遠くで笑うなまえを見かけただけ。
それだけなのに、胸の中で感情が渦巻いて、耐えきれなくなる。
頭の中を整理するために浴びた熱いシャワーも意味がなく、結局癇癪を起こしたように部屋を荒らしてしまった。
本当に、なまえをこの腕で抱いていたのか分からなくなったのだ。全て夢なら、自分の中にある歪な感情だけが何にも頼ることが出来ず渦巻いているだけのようで。
「...ごめん、」
残り香は、もう消えてしまった。
自分を抑える方法を教えて欲しい。理性で抑えきれない何かが、またなまえの隣にオレを導こうとしているのを止める事ができない。
「愛してる」
依存だとか、そんな言葉で片付けられる浅い想いではないと気付いた。
押し付けでしかないだろうけど、それでもオレは、お前の傍にいたいよ。