「自業自得だな」
「……うるさいよ」
任務明けに、少し大人になった凛とした顔でごめんなさいなんて言われて絶望して、どうあがいても初恋相手には勝てない事を知って下手くそなスピーチをして縋ってみてもなまえの答えを覆す事なんてできなくて。
誰もいない家に帰るのも虚しく適当に飲み歩いていれば、名前も分からない女に捕まったりして
「お前は最低な男だよ」
「それさっきも聞いた」
「本当に諦めんのか?」
「…できたら」
正直諦められる気がしない。かと言って気持ちを隠したまま傍にいることができるかと言われれば答えはノーだった。
正直、自分でも引くくらい惚れてる。姿を見る度に触れたいと思う。もう触れることなんてできないのだけれど。
「もういっそ開き直ってドーンと構えろよ」
「そんな簡単な話じゃないでしょーよ」
「今まで陰湿なことし続けたから悪いんじゃねーか。表からバーンと」
「……はあ」
なんで、飲みに行く相手がアスマなんだろう。
なまえのことで傷心している時にガイと二人で酒なんて飲める気がしないし、後輩にこんなところ見せるのはごめんだ。
「大人になれよ、カカシ」
「もう大人だよ」
「どうだかな」
「何が言いたいの」
「お前は同期の中じゃ一番落ち着いてるが、一番分かってねぇな」
大人になれなんて、言われる歳じゃない。
だが、大人になるという事がどういう事か考えてみると、よく分からないように思えてくる。もし、オレが大人じゃなかったとして、そのせいでなまえを傷付けたのだとしたら
「...どうやったら、大人になれるんだろうな」
大人に、なりたいと思う。