「別れたんでしょ?」
「どうでもいいでしょーよそんなこと」
「どうでもよくない」
どいつもこいつも、自分の事ばかりで。
暗部のくのいちなら、少しくらい人の感情に敏感になったらどうなんだ。
香水の匂いも、露出の多い私服も、媚びるような仕草も全て不愉快で、それでもなまえと同じ黒い髪のせいで強く否定できない。
「好きなの」
オレも人の事言えないくらい自分の事ばっかだったけど、好きな相手の事くらい気遣ってくれてもいいんじゃないの。
「カカシが好き」
どんなに綺麗な女が寄ってきたって、オレにとってはその他大勢とあまり変わりがないんだ。
なのに、腕に触れる手の柔らかさになまえを重ねてしまって
「迷惑なんだ」
今のオレにとって、全部が彼女を思い出させてしまう材料だ。彼女を傷付けた自分を殺したくなるよ。