最近、カカシ先輩の機嫌がすこぶるいい。
理由なんてちょっと考えればわかる。来るもの拒まずだったカカシ先輩が女性との関係を全部切ったのだ。

元々一夜だけという関係が多かったのでカカシ先輩にとってはなんてことないのかもしれないが、周りのくのいちはそうじゃない。

「カカシぃ……なんでよぉ、私の方がいい女だもん」

「はいはい、飲み過ぎですよ」

大体、カカシ先輩の恋人を見てもいないくせに自分の方がいい女なんて言い出すような女性をカカシ先輩が本気で相手にする訳が無い。

どうせしばらくしたら他の男に乗り換えて、カカシ先輩の悪口を陰で言うのだろう。ロクな男じゃなかっただの、自分から降っただの。大体そんなことを。

「テンゾウ……慰めて?」

ああ、思ったより乗り換えようとするのは早かったようだ。

「酔い過ぎですよ、先輩」

「テンゾウってチェリーでしょ?いいよ、はじめてもらってあげても」

「遠慮しときます」

安売りしているような女性を相手になんかしたくない。僕はカカシ先輩と違って、遊びで関係を持つなんて御免だ。

それより、カカシ先輩の恋人は一体どんな人なのだろうか。
あのカカシ先輩を本気にさせるってことは、つまりそれくらい素敵な人ってことだろう?
紹介して下さいって言っても、会わせてくれないだろうな。

「テンゾウー」

「家まで送りますね、酔い過ぎですよ」

いい後輩のつもりなのに、ガード硬すぎですよ、ほんと。
誰のせいで僕がこんなことしなきゃいけなくなってるのか。

……まあ、こういう役回りが僕の専売特許みたいになってるし、仕方ない。そう思うことにして、香水臭い先輩を支えた。





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