「……ってわけで、結婚したんだけど、納得した?」
「……理解不能だ」
「難しく考えるからいけないのよ。フィーリングよ、フィーリング。」
サスケには難しいのかもしれないけどね。
実に久しぶりの再会だった。
最後に会ったのは戦争が終わって旅に出る前だった気がする。しかも、ゆっくり話すのは里を抜ける前以来だ。
神妙な顔で訪ねて来たものだから、何かあったのかと聞けば「結婚とは何だ」という哲学的かつ可愛らしい質問を投げつけられた。その硬い質問がなんともサスケらしいというか、何と言うか。
どうして結婚したのかと聞かれたので長々と語ってあげたのだけど、サスケはやはり分からないようで眉間にシワを寄せていた。
「プロポーズするの?」
「……アンタには関係ない」
「人の恋愛語らせといてそれはないでしょ」
「細かいところまで語り過ぎだろ……砂を吐きそうな気分だ」
結婚について聞きに来たってことは、サクラとはうまくいっているのだろう。
ストイックに見えてなかなかやるんだなぁ……。
……そういえばおかかのおにぎりの約束まだ果たしてなかった事を思い出した。
「ご飯、食べてきなよ」
「いや、いい」
「おかかのおにぎり」
「……アンタ、それ」
「食べてくでしょ、ね?」
「……ああ」
可愛いやつめ。頭をぐしゃぐしゃと撫でてあげると、呆れたような目で見られた。流石にもうあのかわいい反応はしてくれないらしい。
「幸せか?」
「私?」
「ああ」
いきなり何聞いてるのかなこの子は。
でも、目が大真面目だから私も大真面目に答えてあげようと思う。
「すっごく、幸せ」
「……そうか」
「だからサスケも早くサクラと結婚しなよ」
「余計なお世話だ」
サクラのことを聞きまくってサスケをからかっていると、玄関が開く音がした。
旦那様がお帰りらしい。今日も仕事で疲れてよれよれになっている旦那様に、家で待つしかできない私が唯一できること
「カカシ、おかえり」
「ただいま」
力なく抱きついてくるカカシを受け止めて、背中をぽんぽんと叩いてあげる。疲れたのは分かったから。重い、重いです。
「サスケ来てるんだね」
「うん、だから今日のご飯は茄子の味噌汁と秋刀魚の塩焼きという予定を変更しておかかおにぎりにします」
「サスケだけおかかおにぎりでいいじゃん」
「だーめ」
それよりただいまのちゅー、と目一杯甘えてくるカカシを適当にあしらいながら、白い目で見てくるサスケに困ったように笑ってみせた。
結婚って、こういうもんです。
(……サクラ、結婚したら毎日ただいまのちゅーとやらをするものなのか?)
(さ、サスケくん!?熱でもあるの!?どうかした!?)