「いっつも、こういうときに泣くの、カカシだったのに、」
「もう泣かないよ、いくつよ、オレら」
「心配かけて、ごめん」
「ほんとにね。焦ったよ」
「独りぼっちみたいに思えて、辛かったの」
優しい手つきで、私の顔を上げた。
私を見るカカシの目が優しくて、涙が余計に止まらない。
「独りじゃないよ」
「カカシ、」
「あのね、一応、さっきのプロポーズのつもりだったんだけど……まだ答えはいいよ、ゆっくりで、いいから」
カカシも私も、離れた時間が長すぎたように思う。
それでも、変わらない根っこの部分を覆っているものが想いに伴って変わっていくのなら、ずっと一緒にいることができるのだろう。
嫌いになっても、傷つけあっても、好きなのは変わりないし、愛しているのは変わらない。
変わっちゃ、いけないんだ。
「婚姻届、貰ってきてね」
「明日朝一で貰ってくるよ」
「保証人はガイに頼むからね」
「言うと思ったよ」
「私、今のところ無職なんだけど」
「専業主婦でいてください」
「キス、してくれないの」
「…マスクを下ろしてくれたらしようかな」
ゆっくりマスクを下ろせば、昔と同じ暖かさが帰ってきた。
仲間を救えなかった私が幸せになってもいいのか不安だけど、死んだ後に懺悔ならいくらでもするから、許して欲しい。
このキスで、私の気持ちも全部伝わってしまえばいい。
歪な形をしていた想いが解けて、真っ直ぐ互いの胸に届くように願って、カカシの首に腕をまわした。