「ガイ、だからお見舞いにカレー持ってくるのやめてってば」
病室に漂うカレーの匂いと、濃ゆい顔に胸焼けしながら、俺が作ったから美味いとかいう謎の理論でタッパーを押し付けてくる幼馴染みにげんなり。
しかもまだ病院食じゃないと胃が受け付けないのに。カレーなんか食べたら胃が爆発する。
「それで、なんかあった?」
「実は、最近テンテンが良く分からない行動をとるようになってな」
「……テンテンが?」
ガイは何故か私に持ってきたはずのカレーを食べ始めながら話し始めた。
テンテンが最近リーに対しておかしい態度をとるらしい。仲良く話していたと思ったら赤面したり、リーがサクラのところに行こうとすると1日不機嫌だったり。ボーっとしているかと思えばリーが来た途端赤面して逃げてしまうらしい。
その行動で推測できるのはただ一つだけなんですけど。
「……恋だね」
「淡水魚のか!?」
「馬鹿、魚じゃない方だから」
今時そんなギャグ時代遅れなんじゃないの。
「ガイ、そんなに鈍感じゃないでしょ」
「おう!ナイスガイだからな!」
「いや、それ関係ないし……。任務に行く前に話したときは結構心の機微とか分かってたのに」
「……任務に行く前?」
「……え?」
「来てないぞ」
「嘘だ、だって話したじゃない夜中に」
「本当に来てないぞ、このカレーに誓って」
「……どうなってんのよ」
じゃああの日私が話してたガイは一体誰だって言うのか。