最悪な気分だ。消毒液の匂いも、心拍を告げる電子音も苦手。そして真っ白なシーツと戦いと似てもにつかない静かな部屋は、私が忍として役に立たなくなった事を私に知らせてくれた。
病室が個室っていうだけで大体分かる。リハビリとかも込で退院には時間がかかるだろう。
「目が覚めたか」
「ええ」
シズネさんを連れて入ってきた綱手様は相変わらずお綺麗だった。
これから私にとって残酷な事実を告げるのだと思うとなかなか胸にくるものがある。
「言わなくても分かりますよ、綱手様」
「……手は尽くした」
「そんな顔しないでください。全て覚悟の上ですから」
「すまなかった」
一人の人間である前に忍。忍じゃなくなった私は一体何なのだろう。昔みたいに事務だけやってみる?それもいいかもしれないな。地味に書類だけ整理して地味に生きていくのも。
「お前が意識を戻したとガイに伝えておく」
「あまり騒がないようにと伝えて下さい」
「伝えたところで騒ぐに決まってるよ」
「……ですよね」
少し痛みを感じる体を動かすことはできなくて、リハビリのきつさを想像して気が滅入ってきた。