「ガイ、起きてたの?」
「綱手様から聞いた」
「そっか、お喋りな人だなぁ」
ガイは家の前で、静かに私を待ってた。流石にこんな時間まで騒がれたらたまったもんじゃないんだけど。
「死ぬ気だろう」
「まあ、死ぬ気で任務はやるよ」
「忍だからな」
「そう。私達がなりたかった忍がそうであるべきだってアカデミーで習ったし」
「カカシには言ったのか?」
「言うわけないじゃん。言えるわけ、ないよね。」
「どうして」
「好きだったからだよ。愛しちゃったからもう歪んだらそこからきれいに直すことなんてできないの。」
「好きだったなら余計に言うべきじゃないのか」
「好きだったから、今こんな汚い想いかかえて生きてなきゃいけなくなってるんだよ。好きじゃなかったらさ、愛してなかったらお互いこんなに汚くならないで済んだんだ。このまま消えちゃえば、思い出すこともないでしょ」
「そんな簡単なことじゃない」
「私なりのけじめなんだよ。どれだけ変わっても、根っこまで変わるわけじゃないんだ。まだ好きだって言っても、カカシの奥の方に声を伝える方法なんてもうないんだ。私の根っこがカカシの事をまだ愛していても、それを覆うものが思いに伴ってくれないから。それなら」
「消えてしまえばいいと」
「なんか今日のガイ、物分り良すぎじゃない?……まあ、ほら、私ってさ、昔から中途半端だったでしょ?ツケがまわってきたんだよ。今更どうあがいても伝わらないなら、このまま蒸発しちゃった方がマシかな。嫌な女のまま消えるのも、悪くないよ」
「それで、お前がいいなら」
「うん。……って、こんな話するために寄ったんじゃないんだよ、あのね」
胸に感じた違和感は気のせいなのか、私の願望なのか。