荷物をまとめて、借りていたアパートを引き払った。いつ帰るか分からないような任務だから、もう帰る場所をずっと空けておくことはできない。

深夜3時頃、私は荷物を抱えてガイの家を訪ねようとしていた。こんな時間に、と思うかもしれないけれど、出発まであまり時間がないのだ。

部屋の鍵をポストに入れて、ゆっくり街を歩く。

街の至る所に散らばる思い出がフラッシュバックしていく。

(オレにも、カレー作ってよ)

(なんだか、夫婦みたいじゃない?)

(んー、なら隣歩こうかな)

(何今の、勿体無いって)

(一緒に、帰ろう)


ああもう、馬鹿。死ぬわけじゃない。二度と会えなくなるわけじゃない。
それでも、私が好きだった貴方は死んでいく。

死んでしまった。だから、こんなにも涙が出るんだ。

人は変わるもの。いい意味でも、悪い意味でも。
変わらない愛なんてないし、永遠なんてないんだ。
毎日生まれ変わるように変化していく人間を永遠に愛し続けるには、一体どうすればいい。

「ごめん」

もうこの言葉が届く貴方は死んでしまったのに

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