離れる気にはならなかったし、離れた所で何にもならないのは目に見えていた。

「なまえ」

こんなの、誰に言われなくても分かる。自覚がある分だけ、私はまともだろうか。
所詮、依存。

「嬉しいんだ」

「何が?」

「酷い事しても、離れていかないってことはさ」

オレの事、愛してくれてるんだよね。

自覚はあったんだね、なんて言えるはずもなくて。どうしてこんな方法で愛を測るのか、どうして、言葉では信じてくれないのか。不満はあるけど、カカシくんにとってこれが愛の形っていうものなのだろう。

情事を終えて一緒にシャワーを浴びて、一緒の布団に入って。酷い人なのは分かっているのに離れるという選択肢が見当たらない。

「首」

「ん、」

「苦しかったでしょ」

「うん」

「幸せにしてやりたいって思ってる筈なんだ。なまえと一緒に幸せになりたいって。

なのに、任務から帰ってくると不安で仕方なくなるんだ。だから後をつけて、縛り付けてるんだ。なまえの事を信じてなまえのところに帰ってくる事ができない。」

きっとこれが、本当のカカシくんなんだと思う。
どんなに怖いことをしても、どんなに痛いことをしても。

結局、愛されたくて、不安な子供みたいな、そんな人。

「……なんか、別れ話みたいだよ、カカシくん」

「…もし、オレが別れようって言ったら、どうする?」


……なにそれ、笑えないよ、カカシくん。


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