「痛いってば、カカシくん!」
「ごめん、余裕なくて」
無理やり腕を引かれて、走って家まで連れていかれた。
家に着いたら靴もそのままに玄関に押し倒されて、気がついたらカカシくんのきれいな指が私の首に巻き付いていた。
「なんの、つもり」
「それ、言いたいのはオレの方だよなまえ」
ゆっくりと、指に力が入って行くのがわかる。抵抗なんてできない、したところで意味なんてないだろう。
「なんでゲンマなんかと二人でメシ行ってんのよ」
「なんでアスマと二人で話してるの」
「なんで、サスケの頭撫でたの」
「なんで、テンゾウのこともっと早くオレに教えてくれなかったの」
「なんで、」
オレの事だけ考えてくれないの。
私の首を締めるカカシくんの力は強くて、頭がぼうっとしてきた。
痛いし、苦しい。涙で潤んだ視界の中でカカシくんが泣きそうな顔で私を見ているから、酸素が足りなくてピリピリと痺れる手をなんとか持ち上げて、カカシくんの頬に当てた。
指先の感覚なんてわからないけど、カカシくんの涙を拭う。
「……ごめん」
首をしめる手が離れて、酸素が一気に肺に入っていく。
床で必死に息をする私を見下ろすカカシくんが何を考えているかは、私には分からなかった。