蜘蛛みたいなひと。そう思ったのは今日が初めてで。

私を糸にかけて、縛り付けてはなさない。

でも、蜘蛛というにはカカシくんは優しすぎるような気がした。

「最近、オレの前で酒飲まなくなったね」

「……そう?」

「なまえと一緒に晩酌するの、好きなんだけどな」

「あのね、前アスマになまえは酒飲むとよく喋るなって言われて。恥ずかしいこととか口走ったらやだから飲まないことにしたの」

「今更恥ずかしいことなんてないでしょーよ」

いや、あるんですよカカシくん。変なこと口走ってもっと怖いカカシくんになるのは嫌なんです。

カカシくんにもたれかかってテレビ見て、うとうとするのが好きだったんだけど、なんだか緊張して全然うとうとできない。
後ろから回される腕にドキドキした。いや、甘酸っぱい意味じゃなくて、怖い方の意味で。

カカシくんの足の間に入って、背中を預けて。カカシくんがぎゅっと抱きしめてくれて、頭を撫でてくれる。
お風呂上がりの高い体温が心地よくて好き。……なのだけど、一度抱いてしまった恐怖心は消えてくれなかった。

「カカシくん」

「ん?」

「大好き」

「うん、オレも」

でもオレは愛してるけどね。なんて言って後ろから耳にキスしてくるカカシくんはいつも通り。

怖いけど、離れたくないのはなんでだろう。


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