恋愛に関しては、もう痛い目見たつもりだ。
だから、真っ当な恋愛して、真っ当に幸せになりたいなあ、なんて思うんだけど。
「……はあ」
「どうしたのよ、ため息なんてついて」
「アンタのせいよバカカシ」
「やっと呼び捨てか、長かった……」
「分かったからせめて隣歩いてよ、なんで斜め後ろなの」
「ごめんごめん、日頃の癖で」
「だからストーカーやめてって!」
「んー、そうだね。なら、隣歩こうかな」
テンゾウのせいでデートすることになったのでカカシくんと一緒にデートみたいなことをしてるわけなんだけど、隣を歩くカカシくんは付き合ってた頃より落ち着いた感じしてる。
何なんだろう、大人の余裕、みたいな?
隣に来たカカシくんが私の手をとって、自然な動きで指を絡めてくるから、なんか、柄にも無くドキドキしちゃったりして。
「か、カカシくん!?」
「ごめーんね、任務上がりだからグローブつけたまんまで」
「いや、それは……別に」
「いやー、久しぶりだから年甲斐もなくドキドキしちゃってるわ、オレ」
あはは、なんて笑って誤魔化してるつもりだろうけど耳真っ赤だし、目合わせてくれないし。……照れるならやるなっつーの。
なんで昔より可愛い反応してんのこの人。
「指、冷たい。変わってないね」
「なまえ?」
「でも、なんかカカシくんは変わった」
「いい方に、かな」
「うん、でもやっぱりちょっと怖いや」
ストーカーは別に怖くはないんだけどね。って笑って言えば、カカシくんはすごく微妙な顔をする。
それでも繋いだ手を痛くないくらいの力でぎゅっ、と握るカカシくんも、後悔してくれてるんだろう。
私だって後悔してる。私だって。