「はーい、今日から新しい先生が来ます!うみのイルカ先生だよー。はい、うみの先生、挨拶」
「は、はい!」
私は今24歳。 アカデミーの先輩教師として後輩ができました。
ちなみに恋人はいません。親友ならいます。
初々しい挨拶をする新人さんに拍手を送ってあげながら、ホームルームの進行。
もう慣れたものだけれど、私生活はボロボロ。
「じゃっ、あとはお願いしましね」
「え」
「上手くやってね?」
「ちょっ、ええええ!?」
若いうちは苦労しなさい。なんて格言みたいなことを言って私は職員室に戻った。午後からは受付やらなきゃ。
万年中忍も、なかなか忙しいモノがある。
ぼんやりと外を眺めていると、カラン、と何かが部屋の中に入って来た。
拾い上げるとそれは暗部のお面で、しかも見覚えのある形。
「……テンゾウ?」
「どうも」
「サボり?」
「いえ、面を落としてしまいまして」
「はいはい」
軽い身のこなしで職員室に侵入して来たのは顔見知りの暗部の子だった。誰もいないからいいけど、誰かいたら大変なのに。
最初はカカシくんの元カノさんに興味がありまして、なんて言って絡んできたテンゾウだけど、今は関係ないらしくて最近は私とコミュニケーションをとるために訪ねてくれるようになった。
「サボり、報告しちゃおうかな」
「それは……勘弁して欲しいですね」
「ほら、はやくいきなさい」
お面をつけてあげると、テンゾウくんはお面をそのままに私に口付けた。
お面越しだから別に、なんてことないけど、結構これは、その……まずい。
「貴方も共犯だ」
「報告するから!」
「キスまで報告できますか?」
「テンゾウの馬鹿!」
元気そうでよかったです。なんて言って窓から去っていくテンゾウにドキドキしている自分の胸がにくい。
ガイの世話を焼かなくなってから、現れたから、世話焼いちゃうんだよなぁ。