アカデミーの合格発表の日、私はお母さんと一緒だった。名前を見つけて、合格の喜びを表に出すこともなくひそかにかみ締めているときに、みんなからひそひそと悪口を言われる親子を見つけたのが、すべての始まりだった。
「ほら、見ちゃいけません」
なんていうか、熱血っていうの?そういうの、正直嫌いじゃなかったからちょっと見ちゃってたんだけど、お母さんがそういって私の目をふさぐから、そっと私はその親子から目をそらした。
「関わらないほうがいいわ」
「なんで?友達は多いほうがいいって言ったのはお母さんじゃん」
「貴女にとっていいことないわよ」
「でも、」
ひそひそ、とまた悪口が聞こえる。お母さんも、悪口を言うこの人たちと一緒なんだ…そう思うと、なんだかいらいらしてしまって
当時の私はほら、まだ子供だったから。
イラッとしたから、つい言っちゃったんだ。
「私はこの子と友達になるから!!だから、みんな子の悪口言うのやめなさいよ!」
今思えばとんでも理論だ。なんだ、私はこの子の友達だから悪口言うなって。やばい、結構恥ずかしい。
だから、子供だったんだってば。
「私、なまえって言うの。今日から友達ね!決まりね!」
何が起きたかわかっていないらしい熱血くんは、しばらく固まった後、お父さんに頭をなでられて正気に戻されていた。
「マイト・ガイ!」
これが、私の華麗なるアカデミー生活をゆがませる理由になってしまったわけなんだけど、私にとってはその…いい、思い出、かなぁ。
ガイが友達になってから私まで悪口言われるようになって凹んでいたんだけど、ガイが補欠合格してからは違った。だから入学前が一番つらい期間だったかもしれない。
入学してからは、毎日ガイの修行に付き合って、それで、一緒に遊んで、たまにガイのお父さんも一緒になって遊んで、とにかく、楽しかった。
「ガイ、あーそーぼ!…って、何みてんの?」
「え?いや、なんでもない!」
「あれって…はたけくんじゃん」
気になるなら話しかけちゃえばいいのに。もしかして恋デスカ?そういってからかってあげると、そんなんじゃない!って真っ赤になって否定するから余計に楽しくなっちゃって、私はそれから毎日はたけくんネタでガイをからかった。マジ楽しかった。