気がつけば私は20になっていた。
もう大人だ。それなりの経験を積んで、今はアカデミーで教師をしている。
ちなみにガイは上忍になって木ノ葉の気高き碧い猛獣としてブイブイ言わせているらしい。上忍と中忍の差は結構大きくて、なんだかとても切なくなった。
それでも生徒達と向き合う時間は楽しくて、こういう人生も悪くないって、思えるようになった。
「ガイ、いってらっしゃい」
「おう!いってきます!」
「それと、来年もよろしくね」
「ああ、今年は元日も大晦日も任務だからな…来年もよろしくお願いします!」
「任務終わったら連絡してね!カレーうどん作りに行くから!」
任務に行くガイを見送るのも慣れた。
いつか付き合えるんじゃないか、みたいな期待は未だに健在だけど、程よい諦めみたいなものも覚えてきて、確かに大人になった自分の内面が憎くなってきた。
本当は、好きです。って言えたらいいんだろうけど、本当に好きかなんてわからないし、関係壊して終わるのは嫌だし。
きっとガイの事だから、好きって言った後も今までと変わらずに接してくれるんだろう。
それでも、私が今までどおりにできるほど器用じゃないことは、私が一番よく知っている。
「お疲れ様」
「はたけくんも、お疲れ様」
「今年は一人?」
「うん、ガイ任務だし」
「…そう」
「はたけくんも一人?」
「うん、一緒に年越しデートしようか」
「でっ…え、ええ!?」
はたけくんは、最近積極的になった。
16のときの告白の時のセリフは本当らしくて、4年経っても私を想ってくれているらしい。
昔より背が伸びて、子供の頃はみんなからイケメン、イケメンって言われてる理由がよくわからなかった私でもはたけくんがかっこいいって言われる理由が分かるくらいイケメンに成長しているはたけくん。
王子様みたいなはたけくんが、私みたいなのを好きになる理由が分からない。それに、私のガイに向けた淡い期待は健在。
だから、私ははたけくんがくれたこの微妙な距離に甘えて、答えを出さないまま。
「うちで年越しそば、食べよう?」
「いい、けど」
「じゃあ、明日昼頃迎えに行くから」
なんだかカレー作ってあげた日を思い出してみて、ちょっと恥ずかしくなって顔を伏せた。