想う




「玲ちゃん、お妙さんって何色が好きかなぁ」

「お妙ちゃんは桃色とか好きですよ」

「じゃあ…コレとか」


久しぶりの休日。

今日は一人で買い物でもしようと、いつもより少しだけ遅いけど、それでも休日にしては早めに起きて、着替えて、ご飯を食べて。

よし、これから買い物に行くぞ!と意気揚々とマンションを出て3分。

パトカーが私の前に止まって、そのパトカーから近藤さんが登場。何故か土下座され、買い物に付き合ってくれと頼まれてしまった。


道行く人達の白い目に耐えられなくてOKしてしまったけど、まさかこんなことになるとは…。



今、私と近藤さんは大型ショッピングモールの1階にいた。近藤さんには不釣り合いの可愛らしいお店でお妙ちゃんにプレゼントする為の簪を選んでいる。

プレゼントを選ぶ近藤さんの目は真剣で、本当にお妙ちゃんが好きなんだなぁと改めて思った。


「ちょっと派手ですね」

「えー」

「えーってなんですかえーって。もっとシンプルなものの方がいいと思いますよ」


最初は適当に選んで終わりにしちゃおうかなとか思っていたけど、来る途中パトカーの中でお妙ちゃんの話をする近藤さんに共感してしまって…

…いや、アレだよ?共感って言ってもその…私も好きな人っていうか恋人っていうか婚約者っていうか…そういう人がいるから、共感するのも当たり前じゃないですか。

…誰に言い訳してるんだろう私。



「これなんてどうかなぁ」

「派手です」

「えー」

「近藤さんがえーって言っても可愛くないですよ。ほら次、探して来て下さい」


プレゼント…かぁ。

そういえば私って、いつも佐々木さんに貰ってばかりなような気が…。

ドレスとか、指輪とか…うん、いっつも貰ってばかりだ。

偶には私からあげるのもいいかもしれない。


「…近藤さん、ちょっと休憩しましょうか」


悩んでいる近藤さんを連れ出して、ショッピングモールの中にある静かな雰囲気のカフェに入った。

フードコートでは落ち着けないだろうからと思って入ったんだけど、漂うコーヒーの匂いと暖かい照明がいい感じだ。

コーヒーを2つ注文してから、一番隅の席に座った。


「いいもの、見つかりそうですか?」

「いや…やっぱり俺には難しいみたいだ。折角玲ちゃんにも手伝って貰ってるってのに…本当にすまん」

「謝らないで下さい。まだ時間はいっぱいあるんですから、いいもの探しましょうね」


砂糖の入ったコーヒーを一口飲むと、やっぱり美味しかった。このお店は当たりかもしれない。

ミルクと砂糖をいっぱい入れて飲んでいる近藤さんは、舌が子供なんだと苦笑いを浮かべていた。


「…玲ちゃん、佐々木殿とは上手くいってるのか?」

「い、いきなり何ですか」

「いや、ほら。結構前に目を真っ赤にして屯所の前に座り込んでただろう?あれから何の報告もなかったから心配だったんだよ」

「あー…そういえば」


そうだよ…。あれから一度も屯所行ってない…。

土方君には会ってたけど、他のみんなにも会ってなかったし…。うん、反省。


「ご心配おかけしました」

「いやいや、いいんだよ別に。ただ俺は玲ちゃんを妹みたいに思ってるからお兄ちゃん心配で」

「近藤さん…」


どうしよう、感動した。

私なんかを妹のように思っていてくれていたなんて…。あ、でもこんなゴリラなお兄ちゃん嫌です近藤さん


「トシも総悟も、みんな玲ちゃんを心配してんだ。偶には屯所に遊びに来い」

「…はいっ」

やっぱり大将なんだなぁ。近藤さんって。

土方君や総悟君が慕ってる理由が分かった気がする。



「…それで、佐々木殿とは一体どこまで…」

「ノーコメントで」


…でもちょっとデリカシーがないよね











「これ、いいですね」

「でしょ!?よし、買ってくる!」

「いってらっしゃい」


結局ショッピングモールから出て、私と近藤さんは駅前にある小さな雑貨屋さんでプレゼントを探した。

口コミで有名なそのお店は可愛らしい小物やアクセサリーが多くて、お妙ちゃんの好きそうなものばかりが並んでいた。

近藤さんがレジに行っている間に店内を見ていると、手芸用のビーズを見つけた。

やっぱりプレゼントするなら手作りかな、なんて思いながらそのコーナーを見ていると、綺麗な白のビーズを見つけた。

思わずそれを手に取ると、やっぱり綺麗で。

これで根付とか作ってみたらいいかもしれないなぁ、なんて…。でも手作りの根付とかちょっと恥ずかしいかもしれない。私手先はそんなに器用ってわけじゃないし、不格好なものになってしまうかもしれないし…。


「…よし」


でも、ちょっとだけ。

チャレンジするだけしてみよう。失敗したら私が使うし、上手くできたら渡せばいいし…。

…よし、頑張ろう


「あ、近藤さん、私もお会計行ってくるんで外で待ってて下さい」

「了解!」


喜んでくれるかな、そう悩んで買うプレゼントって、なんかいいかもしれない。





想う



(近藤さん、プレゼント渡すの、頑張って下さいね!)
(玲ちゃんも頑張れよ!)

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