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危険なものには※
主にサンホラ
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リク/四木臨

「いぃぃぃざぁぁやあああぁぁ!!!」

池袋60階通りで今日も元気に自販機が飛び交う。わざわざ人混みが多い場所を選んで逃走しているというのに、一般人は綺麗に俺らの通り道を作ってくれるもんだから上手く化け物を撒くことが出来ない。シズちゃんは俺を追い掛けることが趣味だとでも言いたげに毎回毎回毎回池袋で俺を見つけては血管浮かべて嬉しそうに喧嘩を吹っ掛けてくる。こっちだって良い歳した社会人なんだから仕事とか用事とかあるし、学生時代の延長線でいつまでもジャイアン君の腹いせに付き合ってる暇ないんだよなあと腕時計を一瞥しながら溜め息をつく。ああもう怒らせると怖いおじさんと待ち合わせしてるのに時間過ぎちゃったじゃないかシズちゃんの単細胞馬鹿。

「…いい加減シズちゃんから解放されたいなー」

そんな切実な願いを神も妖精も七夕も目の前の化け物も聞いてくれた試しが無いので、今日も化け物の可哀想な被害者折原臨也君は自らの力で絶体絶命の危機を乗り越えましたとさ。やはり頼るべきは人間の力だ。


「いい加減どうにかならないんですかね」

それ3時間前くらいに俺が走りながら考えていたことと同じですよ四木さん。個室に案内され、久々の畳に正座しながら四木さんの説教に激しく同意する。シズちゃんを上手く撒けたは良いけど粟楠会からの大切な大切な仕事の用事に3時間遅刻してしまった。池袋で待ち合わせすると大抵こうなるのが分かりきっているので最近は新宿や渋谷で済ませるのだが、今回ばかりは用件の都合上譲れなかったらしい。平和島静雄と貴方が仲良くなればこちらは助かるんですがね、と呆れ半分に呟かれる。

「でも俺としては平和島静雄と組むと回ってこない仕事もあるんで」

そっちの方がやり易いですと正直に伝えれば四木さんは表情一つ変えずに「面倒ですね」と言う。状況が面倒なのか俺自身が面倒なのか分からなかったが、訊くだけ無駄なので流すことにした。
本当は日が落ちるまでに終わらせるつもりだったが、俺がこんな状態だったので夕食を食べながら用事を済ませることになった。目立つと面倒だからと路地の素朴な和食に連れていかれ、大して高くもなさそうな食事が机の上に並べられる。四木さんと食事をするのは何時ぶりだったかなと記憶を探ると学生時代まで遡ることとなった。あの後遅くなるからと、車で適当な所に降ろしてもらってたんだっけ。

「懐かしいですね、こうして二人で食事をするのは」

仕事の話に目処が立った所で四木さんに話し掛ける。すると彼も一息置いて「折原さんが高校生の時でしたかね」と記憶を掘り下げた。初めて彼と食事をした時、彼のひとつひとつの食事のマナーがきちんとしていることに気付いて、純粋に驚かされた記憶がある。学生時代のまだ子供だと言われる時期、大人という部分に初めて直面から触れたのが四木さんだったのだと思う。

「俺、あの時緊張してたんですよ。だからあまり覚えてないんですけど」

「そういう素振りは見せませんでしたがね」

「必死で隠そうとしてましたからね。子供として見られるのは何か嫌で、でも何かミスをすると直ぐに子供に戻りたいと願って」

「何を仰ってるんだか」

四木さんに嘘はあまり通用しない。でもこの喋り方は癖になってしまったので直しようがない。冗談を突っ込まず横に流されるのは常にあることだ。

「でも四木さんと食べた夕食の味は今も覚えてます」

鮭をご飯の上に乗せて咀嚼し、飲み込んでから素直な感想を口にした。これは嘘ではない。

「仕事で他の方々とでもこうして食事するでしょう」

「ええ、勿論。あの後も色々な人と付き合いました。確かに出される食事はこれよりも豪華で高価なものばかりだったと思います」

俺は基本外食だと人の手が加えられたものなら、苦手なものがあっても最後まで残さず食べる。作る人によって味が変わる食事が好きで、そしてどの食事も平均的に普通に美味しいと感じていた。特別不味いとも思わないし、飛び抜けて美味く感じたものもない。

「でも四木の旦那と食べた食事は、何故か一等に美味しかったですね。勿論今も」

「そうですか」

ならお前の言うとこの化け物に再度この機会を作ってくれたことに感謝するべきだろうなと皮肉げに笑った四木さんに、俺はおかしくなって口元をつり上げた。

「あはは、四木さんのそういうとこ苦手だなあ」

二人きりの時にあんな化け物の話しないでくださいよと久々に声を出して笑った。あんな化け物のおかげでこの時間があるなんて、考えただけで反吐が出るんですから。


―――
四木+臨也感がありありですが、リクエストの『四木臨』でした。
四木臨っていうと大人の割りきったお付き合い性的な意味でという印象が物凄く強い。四木臨は何でも性的に見えます(重症
学生時代の臨也に大人を教えたのが四木さんってイメージ(^q^)

2011/03/06 23:19

リク/サンイヴェ※

(ちょっと注意)


寝過ぎだと昼寝を起こしてきた相方のその腕を引いて自分の下に組み敷いた。折角の気持ち良い睡眠タイムを邪魔された苛立ちから来た行動だったが、焦るイヴェールを真上から見てあっさりと眠気は吹っ飛んでいく。

「ふざけんなローランサン!放せ!!」

夕食出来てんだよ!と叫ぶ声を聞いて、そんなに寝てたのかと頭の隅で妙に冷静になって考えた。多分イヴェールは俺がこれから何をしようとしてるか分かってるんだろうなと思う。俺も本当はそこまでする気はこれっぽっちも無かったが、慌てるイヴェールを見てるとなんだかもっと焦らせたくなってきた。自分が性格悪いのは把握済みなので抵抗感は無い。こいつ可愛いなと普通に感想を抱き、そしてもっと可愛がらせる方法を俺は知っていた。

「ちょっとだけ。味見」

「お前のちょっとはちょっとじゃない。蹴るぞ」

「上触るだけ。スキンシップだと思えよ」

具体的に言えばイヴェールは顔を赤らめながらも抵抗を少し緩めた。プライドから腕を放そうとはしなかったけれど俺としては微々たるものなので関係無かった。今日は外に出る必要が無かったためイヴェールの服は上シャツ一枚と非常にこちらにしては都合が良い。正直ベストは嫌いだ。脱がせにくい。そんなことを考えながらシャツのボタンを下から外し、するりと腕を差し入れた。久しぶりのイヴェールの体温は当たり前だけど温かい。

「…鳥肌」

「うるさい」

そこまでやらしい触り方をしているわけじゃないのに腰がもどかしそうに動いているのが目についた。まあもどかしそうと言うと少し違う、多分くすぐったいのだろう。そのまま上に移動して胸の突起に触れた。ぴくりとイヴェールの睫毛が揺れる。

「っん、ぁ…ちょっ待て」

「………」

どうせ反応しても文句を言われるだけなので無視。胸も上の許可を得てる範囲内だから問題ないはずだ。くるりと片方の突起の周りをなぞり、引っ張る。少し硬くなったところで舌で愛撫した。まだ片方だけ。まだ焦らす。

「あぅ…や、サンっ」

「ふ、イヴェールかわいい」

「そ、こで喋んな、ぁあ」

上目でイヴェールの様子を伺うと、耳まで顔を赤く染めて目をそらした。林檎みたいだ。イヴェールは仕事場では涼しい顔をして、いやらしいことなんて一切興味ありませんよという作り笑顔で相手を追い払うのに、こういう時乙女みたいに恥じらったりする。多分その顔は俺しか知らなくて、イヴェールもそんな自分自身を知らなかっただろう。そう考えると凄く気分が良い。
男も女も普通胸はあまり感じない。でもゆっくりと弄ってやると、スイッチが入った時異様に感じやすくなる。だから胸を弄る前はほんのすこし身体を撫でてやるのだ。するとイヴェールは直ぐにこれからの行為を察して身体が勝手に興奮する。

「体は正直って案外間違ってないよな、お前の場合」

「っとで、ぶっ殺す…っ」

「そんなにイヤならやめても良いんだけど」

俺が胸元で喋る度にイヴェールの体がびくびくと跳ねる。そんな彼の反応を確認した上で敢えて尋ねてみた。我ながら意地が悪い。今まで放置していたもう片方の突起も舌で弄り回し、空いた手で反対に痛くない程度に爪を立てる。するとイヴェールは我慢出来なくなったのか腕を俺の首に回し、引き寄せてきた。太股がイヴェールの下半身を擦る。

「は、」

思わず笑いが口から出た。

「硬くなってる」

「ぁ、あ、やっ…も、サン、良いから…!」

快楽に身悶えて訴えてくるイヴェールの表情が泣きそうで可哀想になった。苛めすぎただろうか。俺は胸を弄った指を放し、イヴェールの身体をぎゅっと抱き締めて落ち着くのを待ってやった。荒い息が耳元を掠めるのが嬉しくて、くすぐったくて、とても熱い。多分イヴェールは自分から触って欲しいなんて口には出来ないだろうけど、俺はこれ以上は何も訊かず彼の望みを叶えてやることにした。我慢出来ないのは俺だって同じだと、そんな想いが行為を通じてイヴェールに伝われば良いと願う。


―――
そして夕食が冷める物語。

リクエストは『サンイヴェでtkb攻め。イヴェールが泣き悶える』でした!ただの俺得リクありがとうございます(^q^)

2011/03/06 00:07

募集

※一年ありがとうございましたと、もう一年よろしくお願いしますという気持ちを込めて、小話のリクエスト募集を一定期間したいと思います。
さすがに小説を書けるほど時間ないですけど小話なら今のうちやってみたいなあと思いまして(・ω・)
リクエスト内容はサンホラとデュラララ!!のふたつのジャンルで。どちらも敢えてカップリング内容は指定致しません。凄くマイナーなのはさすがに無理ですが、挑戦してみれば?のノリで送ってくださるのは大歓迎です。
ジャンル、CP、内容を拍手からリクエストお願いします(=・ω・)/



2011/03/05 12:19

盗賊/学パロ/卒業式前

「もうすぐ3月なのにまだ雪降るんだな」

「でもこの時期って大体寒い気がする」

「そうだっけか」

とぼとぼと懐かしい道程を二人で進む。清々しい程堂々と遅刻した。「だってローランサンがうちに泊まりに来た分際で目覚ましセットするの忘れたから…」「それはお前の役割だろ」とまあそんなやり取りを歩きながらやってるけど、とても不毛だ。でも今日は卒業式の歌を練習する為に呼ばれただけなのだから、むしろサボらず来てやったことに感謝するべきだと屁理屈で自分を正当化する。ちなみに誰が感謝するべきなのかは知らない。昨日久し振りに会ったばかりだというのにローランサンはあまり変わってなかった。でも女の子は変わってるんじゃないかな。そう考える。

「積もってるね」

学校の校庭は真っ白だった。特に体育をしない3年が呼ばれているだけだから、雪掻きする必要はないのかもしれない。誰にも踏み荒らされてない雪の毛布はふかふかそうで、とても触りたくなった。冷たいと分かっているのに、なんだか暖かそうに見える。

「少し寄っていこう」

ローランサンは俺の思考を読む天才かもしれない。いや、あいつが寄りたいだけか。ローランサンは校庭に続く階段を駆け足で降りると、そのまま白い海原に飛び込んだ。もふっと音まで聴こえそうだ。俺も階段を降りて、ローランサンの前で屈みこむ。

「服濡れるよ」

「そうだなあ…気持ち良い」

「風邪も引く」

「うん」

ローランサンは顔を上げた。こちらを見た彼の顔の鼻辺りが真っ赤で思わず吹き出した。近所の悪戯小僧と瓜二つだ。ガキ、と笑ってやりたかったけど、こうしてローランサンと雪ではしゃぐのも最後かなと思うとどうにもいつも通りには笑えなかった。寂しくなる。切なくもなる。

「俺さ、この学校好きだったなあ…何だかんだ言って」

ローランサンは立ち上がって雪を軽く叩くと、ずんずんと前へ前へと進んでいった。黒い学ランは真っ白でぐちょぐちょできっと先生に怒られるだろうなんて他人事のように考える。実際他人事だ。
ローランサンのつけた雪の跡がどんどん広がっていく。この跡が、傷痕が、この先も残ってくれるかと言えば、そんなことはない。春になったら雪は溶ける。俺らも卒業する。新しい1年が入ってくる。人も学校も変わっていく。なんとなく変わることは忘却と似ている。実際はそうでなくても、取り残されたような、忘れられた気持ちになる。

「この学校に、俺らが居た証を刻みたいよな」

俺らだけ覚えてるって癪だよ。ローランサンは雪を踏み進みながら喋る。そうだなと俺は頷いた。なあ、今このタイミングで卒業式の歌とか歌ったら俺泣いちゃうかもよ。そう冗談混じりに話しかける。泣かないけどな。
前に進むから変わるんだけど、人はやっぱり知人や環境の変化ってやつが怖い。忘却と似てるから怖い。俺も、なんとなく怖い。ローランサンと卒業式を迎えたあとに「またな」って笑うのだろうか。またって何時なんだろう。少なくともこの学校でまた会うことは無いんだよなあ。

「跡、残ると良いな」

「残ると思うか?」

「やり方分からないけど」

雪を通り越して地面まで深く深く削って歩けば良い。なあ、そうすれば俺らが此処に居た感覚くらいは覚えておいてくれるかな。

―――
周りが卒業式ムードなのでなんとなく捧げます。
私も早く学校行きたい…。卒業はしたくない。


2011/03/03 22:17

サンイヴェ/現代パロ

「明日が休みで、家に帰ったらのんびりとカフェオレ飲みながら映画鑑賞でもするか…って仕事中考えてる時が何だかんだで一番幸せに感じるんだよな」
「へえ」
「なのに何で勝手に人の家で寛いでんだよローランサンてめえ。俺の幸福プランを台無しにしやがって」
「喜びは二人で分かち合えてこそ幸せになるんだよ」
「それどっかの陳腐な歌詞そのまま抜粋しただろ。しかも持ってきたの洋画かよ」
「え?やだった?俺これ観たかったんだけど」
「別に嫌じゃないけど、洋画ってさあ…」
「ん?」
「まあいいや。その代わり今度映画鑑賞するときは俺に映画の内容選ばせろよ」
「そうやって来週も来ていいってさりげなく許可してくれるの、ツンデレのデレの部分だよな。俺イヴェールのそういうとこ気に入ってる」
「はあ?いやそれは…まあいいやそれで」
「照れないんだ」
「そこで照れるほど可愛くない。それに成人男性がそんなことでいちいち照れてたらきもい。痛い」
「えー…」
「つか遠回しに言ってるって気付いてたら空気読んで黙っとけよ」
「俺思ったことそのまま口にするタイプなんだよな」
「知ってる」
「まあいっか。観ようぜ」
「ああ入れといて。飲み物何が良いんだ?」
「カフェオレ」
「了解」

「………」
「………」
「………(ラブシーンが濃いし長いんだけどこれ何時になったら終わるんだよ)」
「………」
「(こういうのあるから洋画はローランサンと観たくないんだよ…。どんな顔して観れば良いんだ)」
「………」
「(ていうかローランサンガン観だし。こいつには羞恥心というものが存在しないのか。…いや一応あるんだけど、こういうときは開き直るっていうか別物としてるっていうか意識してないっていうか…)」
「………」
「………(終わらねえええ)」
「………」
「………」
「………えいっ」
「〜〜〜〜ッ!!?」
「うわ、首筋触っただけで反応しすぎだし」
「な、な、な」
「もしかして自分に変換してムラムラしてた?」
「お、お前じゃあるまいし!ていうか、その悪趣味な悪戯やめろ!心臓が口から飛び出る!」
「ホラーでは驚かねーのになあ…」
「知るか。ローランサンが過剰にビビるから逆に冷めるんだよ」
「なるほど、じゃあ今はイヴェールが異様に照れてるから俺は冷静なのかな」
「俺に聞くな!ああもう、だから洋画は遠慮したかったんだよ…」
「大丈夫大丈夫。このあと映画じゃなくて現実でいっぱいやってあげるから」
「どこら辺が大丈夫!?」


―――
こういうカップル可愛いと思う。

2011/03/03 18:19
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