「平和だなあ」
「なるほど、名前にとって私がフルボッコされるのは平和なのか」
「平和だ」


フルボッコとか言っているが、確かにこれは日常だった。保健委員の名前はフルボッコされたので保健室に来た私とお茶を啜っている。

「平和ボケしてしまいそうになる」
「…この学園で?」
「この学園だからだよ」

そう微笑んで名前はお茶のおかわりを聞いた。有り難くもらうことにする。


「私はね、平凡に憧れているんだよ」


その気持ちはわからないでもなかった。
天才と呼ばれてきて、そうではない人間を羨んだこともあった。
けれど私の場合それは低学年のときで、今となっては皆が実力をつけているので気にならなくなってきた。
5年になってまで名前がそう考えるのは何故だろう。

「平凡になってどうする」
「どうもしない。けれど私は平凡にはならないよ」
「なれない、ではなく」
「ならない」


また微笑んで、今度は外で遊んでいるのだろう声に顔を向けた。
名前にとってあの声は平凡なのだろう。



「平凡になることで失うものもあるからさ」



何を考えているのかはわからなかった。
つまりそれは、私が名前よりも平凡だということだった。





「三郎は綺麗だね」



名前が言っていることが、よくわからなかった。


2010.02.02

wowakaさんの「僕のサイノウ」をイメージして

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