※R15くらい
主人公が酷い


















いやらしく腰を浮かせて俺の名前を呼ぶくの一。忍たまの中でも少しばかり人気がある女だった。高嶺の花とも言われていて、何人の男がフラれただろうか。
そんな女が俺という男に組み敷かれ喘いでいる。

なんと滑稽で笑えるだろうか。



「名前さ…っ…もう……っ」


欲しい、と高い声がそう言う。ああそろそろかなと思い、よがっている彼女を見る。泣いていた。
あ、駄目だ。

「やめた」


「泣く女は嫌い。やめた」







「先輩」

何とも怠い委員会。立花先輩もいないし、綾部は用具委員長に言われて1年生2人を連れて蛸壷を埋めに行った。
部屋にいるのは俺と浦風だけだった。
その浦風が俺を呼ぶ。ん、と生返事した。

「また泣かせたんですね」
「何が」
「くの一の中で随分酷く言われてますよ」
「……ああ、アイツか」

酷く言われてるのか、まあ関係無いが。浦風の耳に入るってことは相当広まっていることだろう。闇討ちに気をつけよう。

「どうしてですか?」
「何が」
「どうしてそんなに泣かせるんですか」
「泣く女は嫌いなんだ」

そんな理不尽な、と浦風は言う。
それから愚痴のように説教じみたことを言いだす。あーあー、うるさいな。俺が何をしようが何を言われようが浦風には関係無いことじゃないか。

「うるさい」


まだ喋ろうとする口を塞いで、床に押し倒す。驚いたらしく浦風は目を丸くしている。馬乗りになってやれば、ひっ、と声を上げた。


「浦風、あの女が好きなの?だからそんなにしつこいの?」
「ちがい…ます…」
「じゃあなんでそんなしつこいの?」
「……」

言わないのか。そんな小さな反抗に苛立った。
ほっといたら暴れ出しそうな両手を床に縫い付けて、鎖骨のあたりに触れるとまた小さく声が上がった。



「ねえ浦風、答えてよ」
「……っいや…です」


抵抗した浦風は次第に泣き出した。
あーあ。俺、泣くヤツ嫌いなんだよ。顔を紅潮させてでっかい目から涙たくさん流して声を我慢している浦風。
あれ、なんだこれ。


「ねえ、浦風」


恐怖と羞恥と懇願の目が俺を見上げる。
ああ、ゾクゾクしてきた。






「俺泣く女嫌いだけど、泣く浦風は好きみたい」


2010.01.13
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