「おー、皆いるなぁ。仲良いなあ!」


ふらふらと歩いていると、いつの間にか3年長屋に来ていたらしい。
聞き覚えのある声が聞こえたので、そっちの方の部屋を覗いてみると見慣れたメンバーが揃って談笑していた。

「あ、苗字先輩!」
「苗字先輩がこっち来るなんて珍しいスね」


三反田が笑顔で名前を呼んでくれて、続けて富松がきょとんとした顔でそう言った。
少し浦風から睨まれてるが、まあいいか。(どうやら俺は浦風に嫌われてるらしい)


「やー、暇で…。ん?次屋と神崎は何してんだ?」

俺という珍しい客が来たにも関わらず、次屋と神崎は寝転がって何かを見ているようだった。
後ろから、ひょいと覗き込んで見る。


「うわあっ!」
「苗字先輩!?」
「おお、若いねえ」

2人は春本を熱心に見ていたようだ。あ、この絵師好きなんだよね。
無理矢理2人の間に割って入って、一緒に春本を眺める。


「で、大きいのと小さいのどっちが好き?」
「な、何がですか?」
「おっぱい」
「そりゃあ、でかい方が良いですよ!」
「僕もそう思う!」

確かにこの本も、でかいのばっかだなぁ…。
興奮している2人に頷いて、振り返ると浦風と目が合った。


「浦風は?」
「……そこそこは、あった方が良いとは思います」
「あっはっは。浦風も興味あるんだ」
「なっ…どういう意味ですか!」
「いやー、あんまし興味無いのかと思った。孫兵みたいに」
「というか、人間に興味無いです」
「お前はもっと興味持てって!」


隅っこでジュンコと戯れてる孫兵に飛びついて、ウザいくらいに絡んでやる。孫兵はそんなに嫌じゃないらしいので、あんまり遠慮せず絡むことにしてる。




「で、三反田と富松は?」

「俺もそこそこあれば…あんましでかくても……」
「か、考えたことないです!」
「あら」


顔を真っ赤にして大声で答える三反田。ここにもいましたか、純情くんが。
3年生は結構極端だなぁ。
興味津々の次屋や神崎がいる半面、全く興味無しの孫兵がいる。



「面白いなー…」
「何がですか?」
「いや、何でもない」

きっとまだ女に夢見てるんだろうな。マセてるヤツはこの頃から女を知るが。
じっと浦風が俺を睨んでくる。ああ、早く出てけって?


「じゃあ、俺はもう行くかな」
「え、もう行っちゃうんですか?」
「浦風が出てけって言うからさ」
「藤内そんなこと言ってないですよ?」
「アハハ。じゃ、お邪魔しました」





本当、俺どうして浦風に嫌われてんだろ。


2009.10.03
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