「次屋ー!神崎ー!」



もう声出すの疲れた。
なあ、あいつら面倒くさい。ジュンコ捜す方が俺にとっちゃ何倍かは楽。だってジュンコ可愛いもん。
俺、生物委員会入りたいなー。何で俺火薬委員会なのかな。
今からでも変えられるのかなー。


「ジュンコー!」
「名前違う。ジュンコここにいる」
「え?あ、本当だ。ジュンコおいで」
「ああっ!ジュンコ!」

迷子捜索に疲れて現実逃避を始めていたらしい。危ない危ない。
シュルル、と腕をつたって俺の首に巻き付くジュンコ。ああ可愛い。このコ絶対学園一の美人さんだよ。

「そんなのは知ってるよ」
「なあジュンコ、俺の嫁に来ないか?」
「名前お前何を言っているんだ!ジュンコをたぶらかすな!」
「あれー?苗字にまごへー」


俺たちの騒ぐ声にひかれて来たのか、神崎がガサガサと草を分けて現れた。
とりあえず一人確保、とため息をついて神崎の手を握る。もちろん逃げられないために。

「苗字の手、冷たいな」
「そうなの?」
「うわ、なんで孫兵とまで手繋がなきゃなんないんだよ」
「本当だ、名前の手冷たい」
「俺は孫兵があったかいことにびっくりだよ」

ああもう面倒くさいからこのままでいいや。
富松たちと合流すっぞー、と言うと神崎の元気良い返事と孫兵のやる気ない返事が返ってきた。


「で、今日は何しようとしたんだ?」
「風呂に入ろうとした」
「…したら、何故か綺麗になるはずが汚れたと」
「まあそういうことだな!」
「あー…もう3年目になると呆れる通り越して感動するな」

富松たちと決めた合流ポイントまであと少し。
何故かまだ2人と手を繋いだままだった。神崎は良い、(というか離れられたら困る)だけど孫兵は何だ。珍しい。コイツが自分から人に触れるなんて。


「ジュンコが名前を好きなんだから、僕も好きになろうかと」
「ジュンコ本当か!?俺ら両想い?」

何とまあ、嬉しい告白だな。俺の首に巻き付いているジュンコを見ると、可愛らしく笑顔を見せている。ああ、両手がふさがってなかったら撫でてやるのに。

「え?孫兵もう苗字のこと好きだろ」
「好きだよ」
「何サラッと恥ずかしいこと言ってんの」
「なのに好きになろうとしてんの?」
「あ、富松ー!」


合流ポイントが見えて、数人の人影も見えた。
4つあるから、次屋を見つけられたんだろう。
というか、なんでいつも俺と孫兵の2人と富松と浦風と三反田の3人に分かれるんだろう。いや、ジュンコと一緒にいられるから嬉しいんだけど、何か腑に落ちない。

俺たちに気づいたらしく、向こうが手を振ってくる。あれは三反田だろうか。三反田って小動物的に可愛いと思う。
生憎両手がふさがっていて手を振り返すことはできない。




「恋仲になりたい好き、になろうとして」

「うわっ、苗字急に止まるなよ」
「作兵衛たちそこにいるよ?」
「ま、孫兵今何っつった…?」
「作兵衛たちそこにいるよ?」
「その前!」
「恋仲になりたい好き?」


いやいや、ちょいと待ってくれよ。
皮肉のつもりで聞き返したけど、孫兵は当たり前のように同じことを言った。
これは、どうすれば良い。
なあ、ジュンコ、とジュンコを見ると、彼女は俺と孫兵を見比べて、俺の頬にキスをくれた。
ああつまり、お似合いですよってこと?俺たちがそういう仲になったら嬉しいってこと?


「手を離すな苗字ー!…って、苗字?」
「え、苗字どこ行くの?」
「大変だ!追わなきゃ!」
「お前らは追わんでいい!」


繋がれていた2人の手を解いて、(孫兵には思っていた以上に強く握られていて、強引に振りほどいた)
俺は逃げるように森の中に駆け込んだ。
ああジュンコ、危ないから孫兵のところに行きなさい。
そんな俺の気持ちを感じとってくれたのか、スピードを落とした隙にジュンコは俺の体から降りていった。これで思う存分走れる。

だいたいこんなことで同様している俺がおかしいんだよ!
普通なら笑って流せる内容だろ。
これはいったいどういうことなんだ!誰か教えてくれ!


迷子らしい

(何があったんだ?)
(ジュンコ!)
(わ、ジュンコだけ帰ってきた)
(名前…ジュンコを心配してジュンコだけでもと…)
(え、そうなの?)
(つーかこれ、苗字も捜さなきゃなんねーの…?)
(いいよ。僕とジュンコが捜すから左門たちは戻ってて)




2009.09.30


続きそうな予感。もしかしたら続くかもしれません^p^

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